日本教育心理学会第56回総会

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ポスター発表 PD

(501)

2014年11月8日(土) 10:00 〜 12:00 501 (5階)

[PD082] 小中一貫校・非一貫校における子どもの適応・発達(2)

コンピテンスに着目して

都筑学1, 岡田有司2, 高坂康雅3 (1.中央大学, 2.高千穂大学, 3.和光大学)

キーワード:小中一貫教育, コンピテンス, 発達

小中一貫校・非一貫校における子どもの適応・発達(2)
-コンピテンスに着目して-

○ 都筑 学(中央大学) 岡田有司(高千穂大学)
高坂康雅(和光大学)

問題と目的
学校教育の現場においては,小学校と中学校の連携や連続性の重要性が指摘されているが,それに関する実証的な研究は十分になされていないのが現状である。本研究では,コンピテンスの発達という観点から,小中一貫校と非一貫校の比較検討を行い,得られた実証データから2つの教育制度で学ぶ児童生徒の特徴を明らかにする。
方 法
調査対象者・調査時期 研究(1)と同じ。
調査内容 児童用コンピテンス尺度(櫻井, 1992)を用いた。4下位尺度の内,16項目を使用した(「学業(項目1,5,9,13;α=.85」,「友人関係(項目2,6,10,14;α=.58であったため,項目10を除いて3項目で得点化した(α=.63))」,「運動(項目3,7,11,15;α=.80」,「自己価値(項目4,8,12,16;α=.77)。
結果と考察
コンピテンスの4下位尺度について,学校形態(一貫/非一貫)×学年(4年~9年(中3))の2要因分散分析をおこない,交互作用が有意であった場合は,単純主効果の検定を行った。
学業では,交互作用が有意であり,一貫校・非一貫校ともに学年間での差異が見られた。一貫校では4年は6・8・9年より高く,6年は8・9年より高く,4・5年は7年より高かった。
友人関係では,交互作用が有意であり,5・6・9年において非一貫校は一貫校よりも得点が高かった(Figure 1)。
運動でも,交互作用が有意であり,4・5・6年において,非一貫校は一貫校よりも得点が高かった。7・8・9年では,一貫校と非一貫校との間に差は見られなかった。
自己価値でも,交互作用が有意であり,4・5・6年において,非一貫校は一貫校よりも得点が高かった。7年では,一貫校が非一貫校よりも得点が高かった。8・9年では,一貫校と非一貫校との間に差は見られなかった(Figure 2)。
以上の結果をまとめると,おおよそ次のようなことが示された。小学校の段階では,小中一貫校よりも非一貫校の児童の方が,友人関係(5~6年)・運動(4~6年)・自己価値(4~6年)のコンピテンスが高いことが明らかになった。中学校段階になると,小中一貫校と非一貫校との間に逆転現象が生じ,小中一貫校の7年は非一貫校の中1よりも,自己価値が高くなっていた。ただし,友人関係においては,4~6年に引き続いて,非一貫校の中1の方が一貫校の7年よりも高かった。
小学校段階において,非一貫校と小中一貫校との間にコンピテンスに差が見られるのは,小中一貫校では,小学校と中学校が同一の敷地にあって,4~6年生が,すぐ間近にいる7~9年生と自分を相対評価する機会が多いことによるのかもしれない。また,両者の間のコンピテンスの差が,中学校段階で見られなくなるのは,非一貫校での小学校・中学校間の移行にともなう適応等の問題が関係しているかもしれない。今回は横断的なデータによる分析であるために,因果関係を明らかにするには限界がある。今後は,縦断的なデータによって,上記のような推論を実証的に検証していくことが課題であるといえる。

付記:本研究は,科学研究費助成事業(基盤研究(B)課題番号24330858:代表・梅原利夫)の助成を受けたものである。