日本教育心理学会第58回総会

講演情報

ポスター発表 PC(01-64)

ポスター発表 PC(01-64)

2016年10月8日(土) 15:30 〜 17:30 展示場 (1階展示場)

[PC08] 幼児期のレジリエンスを育む保育者の援助方略に関する研究(2)

役割の違いによるかかわりに関する記述の差異について

赤間健一1, 坂田浩之#2, 馬場恵里香3, 下稻美里4, 黒木晶5, 牧正興6 (1.福岡女学院大学, 2.福岡女学院大学, 3.福岡女学院大学大学院, 4.福岡女学院大学大学院, 5.福岡女学院大学大学院, 6.福岡女学院大学)

キーワード:幼児期, 保育者, 支援・関わり

問   題
 坂田・赤間・馬場・下稻・黒木・牧(2016)は,幼児期のレジリエンスについて,担任と支援員という役割に違いがある保育者が,同じ幼児のレジリエンスを測定した結果,役割の違いで認識に差があることを明らかにしている。
 本研究では,担任と支援員が援助や関わりについて表した自由記述から,園における役割によって関わりにおける意識,関わり方に違いがあるかどうか,あればその特徴を明らかにすることを目的とする。
方   法
参加者 幼稚園年長児担当6名(担任ならびに支援員各1名,計3クラス)3クラス中1クラス2名は持ち上がりであった。なお,全クラスとも週1回2時間程度の情報共有をしていた。
調査時期 2016年4月下旬
質問紙 ①幼児用レジリエンス尺度(長尾・芝崎・山崎,2008):気質(7項目)・傷つきにくさ(5項目)・自己調整(5項目)の3因子17項目から構成されている。「全くそう思わない」から「全くそう思う」を5段階で評定した。
②関わり・援助に関する自由記述
 フェイスシートには,年齢,性別,勤務年数,園における役割の記入を求め,現職前の職業経験については,追加で本人から情報を入手した。
手続き:幼稚園年長児担当者に,無記名方式の質問紙①と②がセットになったものを配布した。なお,幼児が同定できるよう,回答用紙には幼児のID番号が付されていた。各クラスの担任ならびに支援員は,それぞれ個別に回答し,全ての幼児の回答が終了したら返送用の袋に入れ,郵送してもらった。
結果と考察
 幼児に対する関わり・援助に関する自由記述文をKH Coder(樋口,2014)を使用し分析を行った。役割による差異を調べるために,担任と支援員の記述を別々に分析した。分析対象として抽出された語は担任1065語,支援員1056語であった。各役割において出現文書数が多かった語のうち上位10語を表1に示した。10語のうち7語(「友達」「自分」「一緒」「伝える」「保育者」「遊ぶ」「聞く」)は共通であり,それ以外に担任では,「関わる」「気持ち」「言う」が,支援員では,「話」「本人」「状況」の出現数が多かった。またこれらの語は,頻出度は低いものの担任,支援員の両方に出現していた。
 次に,頻出語間の結びつきを調べるために共起ネットワーク分析を行った。両役割において頻出度が高かった「友達」は,担任では記述の中でも中心的な語であり「自分」「遊ぶ」「言う」との共起が強く,支援員では,「話」「聞く」との共起が強かったが,記述の中では中心的な語ではなかった。支援員の記述において中心的な役割をしていたのは「一緒」であり,「状況」「保育者」「友達」「考える」「促す」との共起が強かった。さらに,「促す」と「聞く」「行動」「遊び」「状況」との共起も強かった。担任では,「一緒」は「遊ぶ」「新しい」「登園」との共起が強かった。
 頻出語の内容が類似していることから,関わりにおいて意識している部分は似ているのかもしれない。しかし,共起パターンや中心となる語は異なり,関わり方は異なる可能性が考えられる。
 担任は,中心語である「友達」との関係において「言う」「伝える」など幼児自身の意思を表すことができるような支援をしている一方で,支援員は,「状況」において「保育者」や「友達」と「一緒に」「考え」たり,「行動」したり,話を「聞」いたりすることを「促す」といった関わり方をしていると考えられる。