JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG34] 人間の社会活動と地球惑星科学

コンビーナ:天野 一男(東京大学空間情報科学研究センター)、小口 高(東京大学空間情報科学研究センター)、伊藤 昌毅(東京大学生産技術研究所)、山本 佳世子(国立大学法人 電気通信大学)

[HCG34-P01] 山陰海岸ジオパークの砂丘・潟湖(ラグーン)地域における人々の暮らしと地域資源を活用した観光・教育の取り組み

*金山 恭子1飼牛 明2岩本 有樹3松原 典孝4源関 絢5澤 恵美子5中川 樹菜6北邑 沙也可7池添 かがり7 (1.鳥取県生活環境部山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館、2.浜湯山・多鯰ヶ池活性化委員会、3.山陰海岸ジオパーク推進協議会事務局、4.兵庫県立大学大学院地域資源マネジメント研究科、5.環境省近畿地方環境事務所 浦富自然保護官事務所、6.山陰海岸国立公園鳥取砂丘ビジターセンター、7.鳥取市役所経済観光部 観光・ジオパーク推進課)

キーワード:ジオパーク、観光、教育、砂丘、潟湖、山陰海岸

山陰海岸ジオパーク西部の日本海に面した地域は、東西16kmにわたり発達した鳥取砂丘をはじめとした砂丘とその背後に形成された潟湖(ラグーン)・低湿地で特徴づけられる。鳥取砂丘の南側に位置する周囲3.4 kmの多鯰ヶ池は、後期更新世以降に谷の前面に砂丘が形成されたことにより生じた堰止湖である。多鯰ヶ池の北東側には、かつて湯山池と呼ばれた潟湖が存在した。この地域は砂地と池だけの不毛の地だったが、海抜16mの多鯰ヶ池と海抜ほぼ0mの湯山池の間に地下水路を掘り、高低差を利用して水と砂丘の砂を流すことで湯山池を埋め立てた。江戸時代から昭和初期のおよそ100年を要したその事業により50 haの水田が完成した。この時の地下水路は現在も用水路として利用され、多鯰ヶ池から湯山地域へ農業用水を供給している。多鯰ヶ池は人々がこの地で生き抜くために不可欠な場所として大切に守られてきたため、貴重な生態系や神社、伝説が残る。

鳥取砂丘から徒歩圏内にある多鯰ヶ池への誘客を図るため、2018年から2019年にかけて浜湯山・多鯰ヶ池活性化委員会の飼牛氏と山陰海岸ジオパークの関係者でワーキンググループを組織し、その方法を検討した。ワーキンググループにおいて、鳥取砂丘の訪問者へアピールできる多鯰ヶ池の魅力の洗い出しをしたところ、「動き続ける砂丘と人々の暮らし」や「砂丘と池のコントラストの美しさ」等が挙げられた。これらの魅力を伝える手段として、まずは多鯰ヶ池周辺のマップ、多鯰ヶ池の形成史、干拓事業等の歴史、多鯰ヶ池弁天宮、おたね伝説などの解説を載せたリーフレットを作成し、山陰海岸国立公園鳥取砂丘ビジターセンターや砂の美術館などに配架・掲示することで、手に取った砂丘の訪問者が多鯰ヶ池まで足を延ばすきっかけ作りをすることとした。今回の発表では、この活動の詳細と経過および当地における砂丘・潟湖の地域資源を活用した他の観光・教育の取り組みを併せて報告する。