第96回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

手術室/ICU

手術室/ICU

座長:髙橋 典彦(北海道大学)

[51] 中材から発信する手術室における鋼製小物管理

安保 晃介, 山田 恭平, 塚田 亜希, 森 小枝 (一般財団法人仁和会総合病院)

【背景】
当院は手術室と中央材料室で一つの部署となっている.手術に使用する器械セットは組み立て後に中材担当者がダブルチェックをおこなった上でサインをし,その用紙と共に器械を滅菌して払い出していた.しかし,手術終了後に器械が紛失している事例が後を絶たず改善が必要な状況であった.
【現状と問題点】
中材においてセット組された器械は,その内容が記載された用紙(以後キカイ表)を用いて正しくセットされているかダブルチェックをおこなって双方の確認サインをしている.その後手術室看護師が器械展開する際にキカイ表と実際の器械を確認するが,手術終了時は看護師がキカイ表に器械カウントのサインをしたのちカルテ保管するため,中材には使用済み器械のみが運ばれていた.そのため中材では運ばれた器械を順次再処理するのみで,器械数が合わないことが後日器械セット組みの際に発覚していた.これではどの段階で器械が紛失したのか追跡できず,紛失に気付いた時点ですでにゴミは処分されていており探す手段にも限りがあることが問題であった.
【経過】
器械とキカイ表が常に一緒に動くシステムを構築した.そして,器械をセット組する際の中材でのダブルチェックに加え,器械展開時・手術終了時・中材での処理時にも確認とサインをするようにキカイ表を改訂し実行してもらった.これにより器械カウントが合わない場合はすぐ前段階のチェック時まで振り返り対応することができるようになり,器械紛失の報告がなくなった.
【考察】
当初は手術器械の使用における確認回数が増加することに対する反対意見があった.しかし,器械紛失が防げたことは結果として手術器械探索作業時間の削減や労力の改善となった.今後も中材から積極的に手術室へ意見交換をおこない,お互いに協働していく.