一般社団法人 日本医療情報学会

[3-B-3-OP21-5] 医事会計システムと連携した多言語対応再来受付機開発による外国籍患者の動向
〜国際化に対応した病院情報システムの在り方の一考察〜

石割 大範1, 小南 亮太1, 中川 陽介1, 奥村 恭平2, 長澤 直人3, 山内 玲2, 美代 賢吾1, 橋本 政典1 (1.国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院, 2.日本電気株式会社, 3.NECソリューションイノベータ株式会社)

はじめに
国立国際医療研究センター(以下、NCGM)では、外国籍患者の受入れを積極的に行っており来院時は、職員または電話通訳によって対応していた。しかし年々増える外国籍患者にスムーズな受診ができることは必要不可欠であり、NCGMにおける外国籍患者の詳細データの可視化も必要であった。そこで、2017年1月に全面入れ替えした病院情報システムの医事会計システムと連携した多言語対応再来受付機と外国籍統計の開発を行った。

開発・調査方法
技術仕様書で外国籍対応の仕様を設け落札ベンダと現場ヒアリングを実施し言語選定、コンテンツ(表示名称等、音声)の作成を医事課、国際診療部と協力し動作検証を重ね開発した。また稼動4ヶ月間のデータを使用しNCGMにおける外国籍患者の動向を分析した。

結果
多言語対応再来受付機はベンダと共同開発し医事会計システムに言語情報を組込み、日本語、英語、中国語、韓国語、スペイン語の5カ国語に対応した。ディスプレイ表示される言語、出力される患者案内票、ガイダンスの音声は患者毎に登録された言語で対応が可能となった。外国籍統計では、1月から4月の間に75カ国延べ5347人(3.8%)の外国籍患者が受診(外来のみ)したことがわかった。また医事会計システムと連携することで外国籍患者の診療報酬区分毎に詳細なデータも統計可能となった。

考察・結語
導入により、NCGMの外国籍患者の動向を正確に把握できるようになった。患者案内票では日本語が併記されているため外国籍患者とのコミュニケーションツールとしても利用できている。今後は更なる言語対応が必要であり、国連公用語であるフランス語、アラビア語、ロシア語に加えNCGMで受診患者の多いミャンマー、ネパール、ベトナム語圏への対応が必要と考える。また今後の展開として、電子カルテ画面上に国籍・言語情報を連携、患者に必要な書類(説明書・同意書等)が自動変換されるシステムが期待される。