日本原子力学会 2014年春の年会

講演情報

一般セッション

VI. 保健物理と環境科学 » 601-1 放射線の医学・生物学への応用(核医学,生物影響を含む)

[B08-13] 医療被ばく・放射線の生物影響

2014年3月26日(水) 14:30 〜 16:05 B (2号館 22C)

座長:緒方良至(名大)

[B12] 低線量放射線の健康影響研究

ラドン吸入による一過性脳虚血に伴う細胞障害の抑制効果

片岡隆浩1, 恵谷玲央1, 西山祐一1, 高田裕司1, 田口勇仁1, 山岡聖典1 (1.岡山大大学院保健学研究科)

キーワード:ラドン, 一過性脳虚血, 低線量放射線

我々は今までに低線量放射線の健康影響研究の一環として,低線量X線照射により抗酸化機能が亢進しマウス足の虚血-再灌流障害が抑制されることや,ラドン吸入によりマウス脳中の抗酸化機能が亢進することを報告してきた。このため本研究では,ラドン吸入による一過性脳虚血に伴う細胞障害の抑制効果の有無について検討した。すなわち,8週齢,雌のスナネズミ(MGS/Sea)に2000Bq/m3ラドンの吸入を24時間させた後,一過性脳虚血モデルを作製した。その結果,一過性脳虚血に伴い海馬CA1の損傷細胞数は有意に増加したが,ラドン吸入により有意に抑制することがわかった。他方,脳中の抗酸化酵素の一つsuperoxide dismutase(SOD)の活性は,ラドン吸入により有意に増加することもわかった。以上の所見などにより,ラドン吸入は抗酸化機能を亢進させ脳の一過性虚血による細胞損傷を抑制することが示唆できた。