2017年秋の大会

講演情報

一般セッション

II. 放射線工学と加速器・ビーム科学 » 203-3 ビーム利用・ターゲット

[2N11-17] 加速器を用いた各種測定・非破壊検査

2017年9月14日(木) 14:45 〜 16:40 N会場 (N棟 N307講義室)

座長:近藤 孝文 (阪大)

15:30 〜 15:45

[2N14] 水溶液中の生体分子の高速重イオン放射線分解における水分子の抑制効果

*野村 真史1、土田 秀次1、梶原 章弘1、間嶋 拓也1、斉藤 学1 (1. 京都大学)

キーワード:生体分子の放射線損傷、水溶液の放射線分解、重イオン照射

粒子線によるがん治療の治療効果向上や,宇宙線による宇宙飛行士のリスク評価のためには,人体に対する重イオン照射の影響を分子レベルで理解することが重要である。本研究では,液体中にある生体物質の放射線影響を実験室レベルで解明するため,真空内液体分子線法により作製したアミノ酸水溶液を標的として用いて,高エネルギーイオン照射(4.0 MeV 炭素イオン)に伴う水溶液中のアミノ酸分子の電離や分解生成物を飛行時間型二次イオン質量分析法により調べた。本研究から,液体内のアミノ酸分子の放射線分解は,孤立分子のそれに比べて,抑制されることが分かった。発表では,得られた結果と孤立した一つのアミノ酸分子やアミノ酸分子のクラスター標的に対する照射実験との比較や,水溶液中においてアミノ酸分子に配位する水の分子数(水和数)との関係から,生体物質の放射線損傷における水分子の役割について考察する。