2018年秋の大会

講演情報

一般セッション

IV. 原子力プラント技術 » 402-1 原子力安全工学(安全設計,安全評価,マネジメント)

[3P10-11] 福島第一原子力発電所事故

2018年9月7日(金) 14:45 〜 15:15 P会場 (E棟 E21)

座長:茶木 雅夫(エネ総研)

15:00 〜 15:15

[3P11] 福島事故原因検討 排気塔閉塞と14の未解明事象との因果関係を考察

排気塔が巨大スノーマシンと化す

*森重 晴雄1、山敷 庸亮1、渡壁 牧人1、北村 康文1 (1. 福島事故対策検討会)

キーワード:福島第一発電所、ベントガス、煙突効果、建屋爆発、断熱膨張

ベントに伴い断熱膨張し排気塔内の吹き出し部のサイレンサー内でベント中の水蒸気が凍結し、ダストとともに排気塔が閉塞し、建屋の換気ラインを通じ水素ガスが建屋に逆流し爆発したと春の大会で発表したが、発表後、東電から福島第一の排気塔にはサイレンサーがないと連絡があった。しかしこれによって閉塞の範囲が広がりその他の未解決問題も解明する契機となった。ベント直前のSC室内は0.8Mpa、90℃の環境で飽和していた水蒸気は大気圧放出されても80℃程度までしか低下しないと確認した。ところがこの高温を維持した水蒸気は排気塔に重大な煙突効果をもたらした。1号機ベント時の外気は気象記録から約8℃と推定された。排気塔は120mと高く、温度差が底部と頂部で72℃あることから圧力差2hPaが生じ、この低圧部分に毎秒100㎥を超えるガスが必要と計算された。ベントガスの流量が4.1㎥/sと少なくこの5%も満たない。それを補うために排気塔頂部から9℃以下100㎥/s以上の外気が流入した。ベントガスは排気塔の軸付近に沿って上昇流にとなり、外気がその周りを取り囲むように下降していたと推定される。一方、スノーマシンが暖冬のスキー場で利用され雪が作られている。このスノーマシンでも断熱効果に加えて、水の粒子が空気を高速で飛ぶ過程で表面が蒸発し蒸発熱を空気から奪われる効果もあって、さらに水粒子を温度低下させ、雪とさせている。スノーマシンは空気が10℃であってもこの効果により雪を作る。ベント中の排気塔は巨大なスノーマシンになったと推定する。東電が行った排気塔の線量調査は排気塔内で蓋をしたような結果となりこれを裏付けた。この排気塔閉塞が現在の未解決とされる14件の問題を解き明かすことが出来た。この閉塞によって1号機のベントガスは1号機の建屋に逆流し、1号機建屋が爆発し、建屋換気設備も破壊した。行き場を失った1号機ベントガスは同じ排気塔につながっていた2号機の建屋換気ラインに逆流しブローアウトパネルを解放した。排気塔の鉄骨が破断したこともこの閉塞が原因と考えられる。排気塔内のスノードームが日中温められ下方移動した瞬間に排気塔の内圧を上昇させことから排気塔側から2号機ラプチャーディクを破裂させ2号機がベントしたことも明らかにし他の未解明現象も解明した。