2020年秋の大会

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VII. 保健物理と環境科学 » 保健物理と環境科学

[2A08-12] 環境放射能・モニタリング2

2020年9月17日(木) 14:45 〜 16:15 A会場 (Zoomルーム1)

座長:塚田 祥文(福島大)

15:45 〜 16:00

[2A12] 福島における放射性物質分布調査

(12)福島県浪江町のスギ林における樹幹流が放射性セシウムの土層への浸透に及ぼす影響

*飯田 光1、加藤 弘亮1、篠塚 友輝1、赤岩 哲1、恩田 裕一1 (1. 筑波大)

キーワード:樹幹流、森林土壌、土壌浸透水、福島第一原子力発電所事故、放射性セシウム

樹幹流は林床への集中的な雨水の流入経路となるほか、樹木根系に沿った選択浸透流を発生させ、森林土壌における放射性セシウムの空間分布に影響を及ぼすとされている。しかし、樹幹流が雨水や放射性セシウムの浸透に及ぼす影響について、土壌浸透水を採水して分析した例は少ない。そこで本研究では、福島県浪江町のスギ林を対象に、ゼロテンションライシメータを用いて樹木根付近(Rd)および樹幹から離れた樹木間(Bt)の土壌浸透水を採水し、それらに含まれる福島原発事故由来の溶存態137Cs濃度を測定した。その結果、樹幹に近いRdの方が水量、溶存態137Cs濃度ともに大きく、採水期間の単位林外雨量あたりの浸透水量は5 cm深度で1.4倍、20 cm深度で3.0倍も多く、溶存態137Cs濃度は5 cmで1.6倍、深度20 cm深度で1.5倍高い値を示した。このことから、樹幹基部では、樹幹流により浸透水量が増加し、また溶存態137Cs濃度が高くなることが示唆された。