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[1C16] 放射性物質によるコンクリート汚染の機構解明と汚染分布推定に関する研究
(23) ひび割れを模擬したセメント硬化体へのα核種の浸透
キーワード:福島第一原子力発電所、コンクリート、廃炉、除染、浸透、α核種
福島第一原子力発電所では建屋内に汚染水が滞留しており、プルトニウム等のα核種が検出されている。汚染水の分析結果より、プルトニウム濃度は下流で低下していることから、原子炉建屋内に残留していることが懸念される。汚染水と接触した建屋壁面にα核種が浸透する深さを評価するため、実際の環境としてひびが生じたコンクリートを想定し、2枚のセメントペースト試験片を組み合わせた試料を作製し、α核種を含む模擬汚染水に浸漬させた。ひび割れ幅が0.1 mm以下の場合はひび割れによるα核種の浸透深さの増加は見られず、表層から2 mm以内に留まった。一方、ひび割れ幅が0.5 mm以上では有意に浸透量が増加した。α核種の浸透に関し、通常の運転で想定される0.1 mm程度のひび割れであればその影響は小さく、事故時に大きなひび割れが生成している場合にはα核種が浸透している可能性が示唆された。