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[1M02] 原子力発電所運用におけるレジリエンス・ポテンシャルの強化
(2) 学習するポテンシャルの強化
キーワード:Safety-II、レジリエンスエンジニアリング、学習するポテンシャル、弱い信号、警告情報
原子力発電所においては安全性の向上に関する努力が蓄積されている、対処するポテンシャルと監視するポテンシャルは既にある程度高いレベルに達している。それらをより一層向上させるためには、本発表シリーズ(1)で考察した通り、学習するポテンシャル強化のための体系的方策が実装されることが望まれる。最近、EUの航空管制分野では、レジリエンス・ポテンシャル強化を多面的に検討し、その中でも「弱い信号」概念に注目して、その予見や学習への活用を進めている。本研究では、これらの知見を踏まえつつ、広範な産業分野を対象として事例の調査分析を実施した。対象事例のいずれにおいても、弱い信号(事前の警告情報を含む)が事前に検知可能であったことが確認できた。弱い信号をプロアクティブに検出し、適切なレベルの対策を実装することは、学習するポテンシャルの向上と実質的に等価であり、これによってトラブル事象の回避または影響低減が期待できる。