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[3J11] 福島における放射性物質分布調査
(11) 福島県における川底堆積物のCs-137濃度の形成要因と長期変化
キーワード:Cs-137、川底土、懸濁態、固液分配係数
2011年の福島第一原子力発電所事故により多量の放射性物質が大気中に放出され、降雨などに伴いすみやかに地上へと沈着した。河川中におけるCs-137の存在形態として、川底土を対象とした研究事例は少ない。川底土は汚染状況がより長期にわたる可能性があるため、そのCs-137移行を明らかにすることは重要である。 そこで本研究は、福島県浜通り・中通り地域で環境省が採取した川底土の長期モニタリングデータを利用して、川底土Cs-137濃度の変化傾向を示した。結果として、川底土のCs-137濃度は沈着から1年程度で急激に上昇する地点が半数程度存在していた。また、川底土の急激な濃度減少は懸濁態よりも1-2年程度長く継続することが判明した。この違いはCs-137の沈着量が少ない地点に、上流からの高濃度の土砂が堆積したことが要因の1つとなっている。また、川底土は河川底質中の間隙水と長い時間接触していることによるイオン競合によりKdの値が変化していることも示唆された。