2023年春の年会

講演情報

一般セッション

II. 放射線工学と加速器・ビーム科学および医学利用 » 203-2 ビーム利用・ビーム計測・ターゲット

[2E05-08] ビーム応用・計測

2023年3月14日(火) 10:50 〜 12:00 E会場 (12号館2F 1225)

座長:坂本 文人(秋田高専)

11:35 〜 11:50

[2E08] 荷電粒子誘起発光分析法による岩絵具の産地推定

*近松 優真1、羽倉 尚人1、河原林 順1、渡部 創2 (1. 東京都市大学、2. 日本原子力研究開発機構)

キーワード:荷電粒子誘起発光、PIXE分析法、岩絵具

従来のXRF分析やPIXE分析では得られない新たな情報を取得することを目的として岩絵具の荷電粒子誘起発光(IBIL)分析を行った。岩絵具の分析は原料の産地や年代の推定、日本画の修復の際の顔料の推定や模造品判定に繋がる。IBIL分析とはイオンビームによって分析対象の外殻電子を励起し、その緩和過程で発生する数eVの電磁波(荷電粒子誘起発光)を検出し、分析する手法である。この分析法を用いて天然白翠末と呼ばれる岩絵具の鉱石種の推定を行い、推定された鉱石種を産地別で実験を行った。まず、IBIL分析による鉱石種の推定により、この岩絵具がアマゾナイトを砕いているものであることが分かった。さらにこの鉱石について産地別で実験を行った結果、不純物であるPbの量や産地によって異なるスペクトルを示すことが分かった。これらの結果は不純物量や結晶系、化学組成が異なる成分によるものの可能性があり今後産地や年代、模造品判定に役立つと思われる。