14:20 〜 15:30
[SL-01] 「子どもを育む遺伝の力、環境の力」
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講演者:高橋 孝雄(慶應義塾大学医学部小児科学教室 教授・小児科診療部長)
座長:有光 威志(慶應義塾大学医学部小児科学教室)
遺伝の力と環境の力は、ヒトの一生を通じて、互いに影響し合いながら健全な心と体を作り、維持しています。
遺伝子の力は、容易には変わらないことによって子どもの成長と発達を底支えします。胎児期には、遺伝子によって決められたシナリオに沿って体が正確に形作られ、そこに正しい機能が宿っていきます。その過程は、とても緻密で堅牢なものなので、たとえ胎児環境が少々変動したとしても、赤ちゃんはお腹の中ですくすくと育っていきます。さらに、遺伝的素因は生まれた後にも強く作用し続けます。そのことにより遺伝の力は、たとえ劣悪な環境に遭遇したとしても、子どもたちがたくましく成長、発達を遂げることができるように手助けをし続けます。
一方、環境の力は変化に富み、流動的であることによって、子どもの成長や発達を包み込むように促します。望まれない妊娠や産前産後の鬱などの要因は、生後間もない赤ちゃんの心身の発達に深刻な影響を及ぼします。また、貧困や虐待、コロナ禍による孤独、インターネットを舞台とした不適切な環境など、重大な負の環境要因はあとを絶ちません。そのような状況が長く続くことで子どもたちの心身の健康が危険にさらされることは自明です。しかし一方、温かい母性と強い父性に守られた豊かな家庭環境は、子どもたちの成長と発達にとって強い追い風となります。
遺伝の力と環境の力、これらふたつの力を利して、我々おとなは子どもたちのために何ができるのでしょうか。講演の最後では、「全てのおとなは子どもの代弁者」というテーマでお話をさせて頂き、社会全体が子育てに関わることの大切さについてご一緒に考えてみたいと思います。
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