2020年度全国大会(第55回論文発表会)

講演情報

都市計画論文

講演番号[26]-[34]

2020年11月7日(土) 09:00 〜 12:20 第III会場

司会:本間 健太郎(東京大学)、鵜飼 孝盛(防衛大学校)

12:00 〜 12:20

[34] 標本に基づく空間データの利用が空間解析に及ぼす影響についての考察

―空間的自己相関の解析を題材に

○山田 育穂1 (1. 東京大学 空間情報科学研究センター)

キーワード:標本に基づくデータ、空間解析、空間的自己相関、ローカルMoran統計量

本研究では、空間解析において標本調査により収集された空間データを用いることが及ぼす影響を明らかにすることを目的として、統計的シミュレーションに基づく検証を行った。分析対象地域内に他より高い属性値を持つ空間単位のクラスターが存在する様々な空間パターンを確率的に発生させて、そのクラスターを検出する空間解析を、母集団全体を用いて行った場合と特定の抽出率で得た標本に基づき行った場合とで、結果がどのように変化するかを分析した。空間解析に使用したのは、空間的自己相関の分析に広く用いられるローカルMoran統計量である。分析の結果、第一種の過誤については、その発生回数・空間分布共に母集団に基づく解析と標本に基づく解析の間に大きな差はないことが分かった。一方、クラスターの検出力は、標本の抽出率が低下すると共に低下すること、その傾向は特にクラスターの辺縁部で顕著であることなどが明らかとなった。今後は、一定の検出力を保つために必要な抽出率あるいは標本数などについて、他の空間解析手法も含めた包括的な検証が望まれる。