2020年度全国大会(第55回論文発表会)

講演情報

都市計画論文

講演番号[90]-[100]

2020年11月8日(日) 13:00 〜 17:00 第I会場

司会:梅本 通孝(筑波大学)、馬場 美智子(兵庫県立大学大学院)、客野 尚志(関西学院大学)

13:40 〜 14:00

[92] 津波伝承において津波碑が人々の災害前の防災意識に与える影響

―南海地震津波被災地域を例に

○齋藤 悠介1、廣井 悠1 (1. 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻)

キーワード:津波碑、津波伝承、南海地震津波被災地域、アンケート調査

日本の津波伝承において、津波碑は古くから広く使われてきた伝承手段である。本研究では、南海地震津波被災地域の事例を用いて、津波伝承における津波碑が人々の災害前の防災意識に与える影響について考察した。
文献をもとにした調査やアンケート調査を通じて、津波碑は強力な情報源としての役割はなく、また人々の具体的で直接的な行動の喚起には繋がりにくいことが分かった。このことから、津波碑は具体的なメッセージを伝える手段としては限界があると考えられる。一方で、即地性が高く永続性のある記録の手段として有効であり、視覚的効果に伴う防災意識の啓発には一定の効果があると考えられる。
以上より、「記録」と「啓発」の点に関して人々の防災意識に影響を持つと考えられる。