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[104] 生きづらさを抱えた人の居場所づくりを通じた支援の実態と可能性
―インフォーマルな居場所に焦点を当てて
キーワード:居場所、精神障害、ひきこもり、自己自認
近年日本では、精神障害者やひきこもりなど心の健康を損ない、生きづらさを抱えた人にとって支援として居場所を提供することの重要性が指摘されている。公的制度に基づかず柔軟な支援を行うインフォーマルな居場所も増加している。これまで居場所づくりを通じた支援の形態ごとの役割や、インフォーマルな居場所の詳細については明らかにされていない。本研究ではこれらに焦点を当て、地域で安心して暮らすための支援の一つとして担いうる要素について考察することを目的とする。”居場所”関係者へのインタビューとアンケートからは、支援の目的によっても”居場所”を分類可能で、形態ごとに強みや弱みがあることが明らかになった。インフォーマルな居場所である居場所Xでの参与観察では、中高年のひきこもりを中心として、「話す」行為を通じて人と関わることができるようになり、自己自認に至り、進みたい道を見つける場が成立していると明らかになった。これらの考察を通し、今後生きづらさを抱えた人の”居場所”づくりを発展させ、きめ細やかな支援を目指すための示唆を得た。