2020年度全国大会(第55回論文発表会)

講演情報

都市計画論文

講演番号[101]-[108]

2020年11月8日(日) 09:00 〜 12:00 第II会場

司会:藤岡 泰寛(横浜国立大学大学院)、永野 聡(立命館大学)

10:40 〜 11:00

[105] エコディストリクト認証制度の成立過程と適用事例の実態

―既成市街地の持続再生に向けた新たな枠組み

○久保 夏樹1、村山 顕人2、真鍋 陸太郎2 (1. 株式会社日建設計総合研究所 、2. 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻)

キーワード:エコディストリクト、地域再生、持続性評価、既成市街地

本研究は、米国ポートランド発祥のエコディストリクト認証制度を対象に、既成市街地において持続可能なまちづくりを展開する際に重視される点を明らかにすることを目的とする。地区スケールの持続性評価ツールの中で、エコディストリクト認証制度はパフォーマンス基準と市民参加を組み合わせて進化したプロセスベースツールとして分類された。エコディストリクトの枠組み開発の過程では、開発当初の環境面が重視されたサステナビリティ戦略から、地区の公正性やレジリエンスに視野が広がり、計画プロセスにおいて地区のリーダーシップが重要な要素として取り入れられた。エコディストリクトの枠組みと指標は地域の特性に合わせた目標設定が可能であり、枠組み自体が、地域で議論する際のコミュニケーションツールや教育ツールとして機能している。また、エコディストリクトが適用された15事例の分析より、枠組みは既存地区の再生における活用、コミュニティ再生における活用、開発プロセスにおける活用の3つの活用がみられた。