2020年度全国大会(第55回論文発表会)

講演情報

都市計画論文

講演番号[142]-[150]

2020年11月8日(日) 09:00 〜 12:20 第V会場

司会:津々見 崇(東京工業大学)、角 哲(名古屋市立大学大学院)

11:20 〜 11:40

[148] 北海道殖民都市における舟運との関係からみた市街地構造の実態

○安達 友広1、久保 勝裕2、木曾 悠峻3 (1. 株式会社伊藤組土建、2. 北海道科学大学工学部、3. 株式会社中山組)

キーワード:北海道、グリッド市街地、舟運、船着場、都市軸

明治20年代から本格化した北海道の市街地建設では、多くがグリッド市街地と鉄道施設が同時期に建設された。そして、鉄道駅に直交する駅前通りの設置、それに間口を向けた街区計画など、合理的な計画が実践された。しかし、開拓の経緯や、近世遺構や微地形などが市街地設計に影響を与えており、北海道における市街地空間の固有性の検証においても、こうした視点を改めて見直すことが必要であろう。

本研究では、かつての舟運に注目し、建設時から現在までの船着場を中心とした市街地構造を把握し、現在まで継承されてきた都市軸の実態を明らかにした。

例えば、名寄市街地では、駅から離れた船着場付近に当時の中心街が形成された。現在では、その後に拠点化した駅前地区との間に「L字骨格」を継承している。千歳市街地では、自衛隊基地等の立地も影響し、船着場があった川沿いに飲食店街等が発達した。現在でもそのゾーニングは継承され、千歳川を都市軸として都市機能が集積している。以上、開拓期の船着場は物流基地として高い拠点性を持った。これが一因となり、市街地固有の都市軸の形成を促し、駅中心の市街地構造に移行しながらもそれを現在に伝えている。