2020年度全国大会(第55回論文発表会)

講演情報

都市計画論文

講演番号[151]-[156]

2020年11月8日(日) 13:00 〜 15:00 第V会場

司会:福島 秀哉(東京大学大学院)、藤賀 雅人(工学院大学)

14:20 〜 14:40

[155] COVID-19に対する都市封鎖の類型化と課題

―主要感染拡大国における暫定的事例研究

○大津山 堅介1、齋藤 悠介1、小松崎 暢彦1、石井 沙知香1、松本 慎一郎1、竹中 大貴1、廣井 悠1 (1. 東京大学)

キーワード:移動制限、新型コロナウイルス、新型肺炎、都市封鎖

新規コロナウイルス(COVID-19)によって引き起こされる重症急性呼吸器症候群(SARS CoV-2)は,世界規模での歴史的な脅威となっている.都市封鎖(ロックダウン)や移動制限は,コミュニティの感染を最小限に抑える効果的な戦略でる一方,数ヶ月に及ぶ経済活動の停止は地域経済にとって深刻な打撃を与える.本稿では,主要な感染拡大国での事例比較を通じ,都市封鎖の類型とその課題を特定し,防災研究と公衆衛生の共通点を見出すことを目的とする.12カ国の都市封鎖またはそれに類似する施策比較から,都市封鎖は,早期水際対策・行動管理型,強権的移動規制型,地域別対応型,モラル依存型の4つに分類された.日本では自粛要請によってモラル依存型に分類される.このタイプでは,自助,共助,公助のバランスが重要であるように,感染症においても市民のリスク認識と管理が求められる.今後の学術的課題として,感染拡大終息後の都市封鎖の定性的・定量的調査や移動制限の不均衡,すなわちテレワークや疎開ができない移動制限によって著しい不利益を被る人々のリスク低減方法の検討は喫緊の課題である.