2020年度全国大会(第55回論文発表会)

講演情報

都市計画論文

講演番号[157]-[165]

2020年11月8日(日) 09:00 〜 12:00 第VI会場

司会:星野 裕司(熊本大学大学院)、白柳 洋俊(愛媛大学)、松井 大輔(新潟大学)

10:40 〜 11:00

[162] 宇都宮市の市街地に広がる産業遺産としての大谷石建造物・構造物の特徴

○三浦 魁斗1、山崎 嵩拓1、飯田 晶子1、横張 真1 (1. 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻)

キーワード:地場産材、地場産業、産業遺産、大谷石

本研究では、宇都宮市における大谷石を対象に、地場産材を生み出す産業の変遷と、産出地に近接した地域での地場産材の利用実態との関係を明らかにした。その結果、採石手段が手掘りから機械掘りに変化するに応じて、石材利用も変化したことが明らかになった。つまり、地場産材を利用した建造物・構造物が、地場産材を生み出す産業の変遷という地域の歴史や文化を表出する産業遺産であることが示唆された。今後、地域固有の歴史や文化の継承という目的に立脚し、地場産材を利用した建造物・構造物を保全するには、地場産材の利用実態と産業の関係を読み解く取り組みの検討が望ましいと考えられる。以上の結果をふまえると、地域の歴史や文化を理解する上で欠くことのできない事物を保全するという立場からは、地場産材の利用実態を示す建造物・構造物を産業遺産として等しく検討すべきである。今後、地場産材を利用した建造物・構造物を産業遺産として保全するまちづくりを進めていくには、本研究が提示したような視点をふまえることが重要であろう。