2020年度全国大会(第55回論文発表会)

講演情報

都市計画論文

講演番号[157]-[165]

2020年11月8日(日) 09:00 〜 12:00 第VI会場

司会:星野 裕司(熊本大学大学院)、白柳 洋俊(愛媛大学)、松井 大輔(新潟大学)

11:20 〜 11:40

[164] 金沢市重要文化的景観選定区域における高さ制限の見直しに関する研究

○中谷 裕一郎1、小浦 久子2、木谷 弘司3 (1. 金沢市役所、2. 神戸芸術工科大学、3. 一般財団法人 石川県県民ふれあい公社)

キーワード:文化的景観、高度地区、景観価値、動的保全

本研究は、金沢における重要文化的景観の価値を継承するための景観保全に求められた都市の高さ問題への対応を検証することにより、市街地更新を前提とする都市の文化的景観の保全について考察した。近世城下町の計画理念が表現されている天守を見通すヴィスタの景観演出は、金沢の重要文化的景観の価値と特定されるものであり、この価値の保全とは城跡から旧城下を眺める眺望を保全することである。そのために城の正面に位置する地区における高さの抑制が課題となった。シミュレーションにより、地形条件も踏まえ、城跡からみたときに建物が石垣の高さを超えないようにするための指標となる高さを検証した。合わせて、地区ごとの建築実態および景観不調和の実態を把握し、シミュレーションにより求められた20m高度を指標とし、地区の状況に応じて高度地区のダウンゾーニングが実施された。この取り組みは、価値の考え方にもとづく計画基準の設定のあり方を示したもので、継続的に変化することで持続的となる都市の文化的景観の動態的保全手法の一つを画定したといえる。