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[60] 東京都区部における開発実態の評価を踏まえた開発拠点誘導政策の課題に関する研究
キーワード:都市開発諸制度、開発誘導方針、東京都区部、土地利用現況調査、クラスター分析
本研究では、東京都の開発拠点誘導方針である「新しい都市づくりのための都市開発諸制度活用方針」について、区部を対象とした土地利用現況調査等の空間情報データを用いて、開発実態の側面からの定量分析に基づいた制度評価を行った。同方針では、指定された各開発拠点が、容積率緩和上限や、それを適用するために導入すべき育成用途の種別を規定するための整備区分として、一定の基準に基づいて制度的に分類されているが、本研究ではその区分と、各拠点の開発ポテンシャルを指標とした定量的な拠点分類に相違があることを示した。また、後者の分類による拠点のクラスターごとに、床開発の度合いや用途、都市集積の経年変化といった特徴が異なることを明らかにした。この点について、同一の整備区分であって、等しい緩和基準で扱われる拠点同士の開発実態が異なっていることは、誘導される開発事業の地域的な偏りを生じる要因となる可能性があることを制度上の課題点として指摘し、現行方針の改善として、市街地特性をより反映した整備区分や評価係数の設定等の方向性を示唆した。