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[74] 戦後復興期における建築学徒・米永代一郎の都市計画に関する思考と活動
-「都市計画の民主化」のミクロストリア
キーワード:建築運動、高山英華、西山夘三、鹿屋、鹿児島、千葉
本論文では戦後復興期の「都市計画の民主化」に関する理解を深めるために、敗戦を19歳で迎え、28歳で都市計画から離れていった建築学徒・米永代一郎の都市計画を巡る思考と活動の遍歴を跡付けた。鹿屋で軍国教育を受け、軍隊経験を経た後、鹿児島高専、東京大学第二工学部、千葉県庁で都市計画を探求し、最終的には鹿屋で新聞社を創設する米永の歩みは、戦後復興期の「都市計画の民主化」が、戦後の急進的な社会改革思想だけでなく、戦前から継承した愛国的心情を基盤として始まったこと、行政機構や制度改革の背景に、市民の主体性確立や科学的都市計画を探究した実践運動が存在したこと、しかし、目標設定は当時の都市計画の実務や市民との関係の現実とはかけ離れていたことを教示している。ここに戦後復興期の「都市計画の民主化」の限界、減退の理由が見定められる。