2022年度全国大会(第57回論文発表会)

講演情報

都市計画論文

講演番号[7]-[12]

2022年12月3日(土) 13:30 〜 16:00 第I会場 (9号館 911教室)

司会:西村 亮彦(国士舘大学)、杉本 興運(東洋大学)、矢吹 剣一(東京大学)

13:30 〜 13:50

[7] 洋上風力発電施設の景観に関わる「海洋計画」と「離岸距離」に関する国際比較

-洋上景観保護のための風車ゾーニングと最小離岸距離に関する調査

○宮脇 勝1 (1. 名古屋大学 大学院環境学研究科)

キーワード:洋上風車、海洋計画、離岸距離、シースケープ、景観、風車ゾーニング

本論は、海岸線から洋上風車までの「離岸距離」が短い日本の課題を背景に、景観の基礎要因である「離岸距離」に着目し、「海洋計画」や風車の景観評価である「視覚的影響評価」を国際的に比較調査し、国内適用を目指すことを目的とする。
 洋上風力発電量の上位18か国を対象に調査した結果は、以下の通りある。 1)一般海域の最小離岸距離の計測から、離岸距離に配慮しているとみられる国には、中国、英国、ドイツ、オランダ、デンマーク、ベルギー、スウェーデン、韓国、アメリカ、ポルトガル、アイルランド、フランスが挙げられる。 2)実証実験用の風車、港湾、工業地域、人工干拓地に近接する場合において、離岸距離が短い事例が多い。 3)英国、ドイツ、オランダ、デンマーク、ベルギーでは、政府が海洋計画を策定し、比較的長い離岸距離を確保している。4)ベルギーで離岸距離が最大16.5kmで地元反対が、英国で離岸距離が3kmで景観訴訟が生じている。 デンマークの例では、工業地域に隣接しているが、離岸距離4.7kmの比較的近い場合でも、風車の配列や数を変更することで、市民の受容性が増している。5)日本でも洋上風車のための海洋計画と離岸距離の検討が必要である。