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[91] 潜在的限界地区における地域愛着の形成構造に関する研究
-居住利便性の高さ別に着目して
キーワード:地域愛着、潜在的限界地区、居住利便性、地域環境
本稿では、居住利便性に着目し、潜在的限界地区における地域愛着の形成構造について検証した。宮城県内の高齢人口の割合が50%以上の地区を対象に質問紙調査を行った結果、潜在的限界地区では、物理的要因は社会的要因に近い愛着形成効果を持つ傾向が示された。居住年数と年齢について、有意な愛着形成効果が認められなかった。さらに居住利便性を考慮して愛着とその形成構造を比較した結果、居住利便性を高く認知する住民(高利便性群)は居住利便性を低く認知する住民(低利便性群)に比べて高い地域愛着を示す傾向が示された。また、低利便性群では、愛着形成の際に社会凝集力がやや重視される可能性もうかがえた。これらの結果から、潜在的限界地区で愛着醸成を図る際には、地域資産の魅力向上と、地域内の信頼関係を高める活動の活発化が有効であることが示唆された。利便性を低く認知する住民に対し、社会凝集力の向上が重要な可能性が示唆された。