2023年度全国大会(第58回論文発表会)

講演情報

都市計画論文

講演番号[24]-[30]

2023年11月11日(土) 09:20 〜 11:50 第III会場 (A棟 G2大講義室)

司会:吉江 俊(早稲田大学)、福本 優(兵庫県立人と自然の博物館)、宋 俊煥(山口大学)

11:30 〜 11:50

[30] 住民にとってのポジティブ・ネガティブな場所の特徴に関する研究:場所の記憶によるアプローチ

○李 子贏1、青木 俊明1 (1. 東北大学)

キーワード:場所の記憶、テキストマイニング、場所の特徴、自由記述

本稿では、居住地域に関するポジティブな場所の記憶とネガティブな場所の記憶が得られた場所の特徴を明らかにすることを目的とする。都市部および農山村部の住民を対象としてWeb調査を実施した。263件の有効な回答が得られた。回答者は、居住地域内の場所の記憶を思い出して自由に記述するように求められた。収集されたテキストデータに対してテキストマイニング分析を行い、各群の特徴的な語句を特定した。その結果、都市部と農山村部の場所の記憶の形成構造は著しく異なることが明らかになった。都市部におけるポジティブな場所の記憶は、余暇活動によって形成されることがうかがえた。都市部におけるネガティブな場所の記憶は、主に対人関係によって形成されることが示唆された。一方、農山村部におけるポジティブな記憶は、都市部と同様に余暇活動によって形成されると考えられるが、その独自な構成要素は本格的な自然環境と地域文化である。農山村部におけるネガティブな記憶は、主に対人トラブルや住環境への不満によって形成されると考えられる。ポジティブおよびネガティブな場所の特徴の両方を理解することが、心豊かな生活を送れる居住環境の創出に貢献することが期待されている。