[PA003] ストレス軽減に向けた動物の癒し効果に関する研究II
高校生を対象とした動物に関する意識調査からの検討
キーワード:農業高校, 動物, 癒し
【目的】高校生を対象とした動物に関する意識調査から,動物の癒しについて検討する。
【方法】調査対象者:A県内のB及びC高校(複数学科のある高等学校1年~3年生) B校(458名:男201名 女257名) C校(342名:男163名 女179名) 調査時期:平成25年10月1日~翌年1月31日 調査内容:(a)動物をイメージするとき,一番に思いつく動物は何か。(b)今までに動物を飼ったことがあるか。(c)今までに動物に癒されたと思った経験があるか。(d)ペットに対する態度測定尺度〔B校のみ〕(浅川・佐野・古川・東・森,1999)47項目4件法で回答を求めた。但し,「ペット」を「動物」に変更し,項目番号13の「動物は大好きだ」を「動物は好きだ」に変更した。(e)好きな動物がいますか。〔C校のみ〕
【結果】(a)について,B・C校(730名対象)で,結果については以下の通りであった(Table 1)。
(b),(c)について,B校(423名対象)を,「飼った経験の有無」「癒された経験の有無」と「性別」のクロス集計の結果より,男(χ2(1)=34.74,P<.001),女(χ2(1)=22.07,P<.001)であった(Table 2)。さらに,「性別」×「飼った?」では,(χ2(1)=3.77,P<.10),「性別」×「癒された?」では,(χ2(1)=19.46,P<.001)となり,ともに有意差が認められた。
(d)について,動物に対する態度測定尺度の因子分析を実施した。解釈可能な4因子が抽出され,順に,「癒し感」「親和感」「嫌悪感」「不憫感」と命名された。各下位尺度のα係数により,この尺度の高い信頼性が確認できた(第4因子を除く)(Table 3)。
(e)について,C校(308名を対象)で結果については以下の通りであった(Table 4)。
【考察】(a)「動物のイメージ」と(e)「好きな動物」の両方で,ウシが3位に入った。牛乳が身近であること,農業高校での関わりが深いことが考えられる。今後普通校との比較が必要である。(b),(c)より,女子の方が男子より動物を飼った割合が高い傾向にあり,癒された経験は有意に高かったことから,青年期における母親への準備期とも考えられる。(d)で得られた因子は,大学生を対象にペットに対する態度を測定した浅川ら(2000)の結果と一致する。Table 1・4の結果より,イヌ,ネコが半数以上占めていることから,青年期にある高校生・大学生が,ペットと動物を同じように捉えていることが示唆された。
【引用文献】浅川 潔司・佐野 智子・古川 雅文・東 由佳・森田 惠子(2000).ペット動物の癒しの効果に関する健康心理学的研究 兵庫教育大学研究紀要,20,115-119.
【方法】調査対象者:A県内のB及びC高校(複数学科のある高等学校1年~3年生) B校(458名:男201名 女257名) C校(342名:男163名 女179名) 調査時期:平成25年10月1日~翌年1月31日 調査内容:(a)動物をイメージするとき,一番に思いつく動物は何か。(b)今までに動物を飼ったことがあるか。(c)今までに動物に癒されたと思った経験があるか。(d)ペットに対する態度測定尺度〔B校のみ〕(浅川・佐野・古川・東・森,1999)47項目4件法で回答を求めた。但し,「ペット」を「動物」に変更し,項目番号13の「動物は大好きだ」を「動物は好きだ」に変更した。(e)好きな動物がいますか。〔C校のみ〕
【結果】(a)について,B・C校(730名対象)で,結果については以下の通りであった(Table 1)。
(b),(c)について,B校(423名対象)を,「飼った経験の有無」「癒された経験の有無」と「性別」のクロス集計の結果より,男(χ2(1)=34.74,P<.001),女(χ2(1)=22.07,P<.001)であった(Table 2)。さらに,「性別」×「飼った?」では,(χ2(1)=3.77,P<.10),「性別」×「癒された?」では,(χ2(1)=19.46,P<.001)となり,ともに有意差が認められた。
(d)について,動物に対する態度測定尺度の因子分析を実施した。解釈可能な4因子が抽出され,順に,「癒し感」「親和感」「嫌悪感」「不憫感」と命名された。各下位尺度のα係数により,この尺度の高い信頼性が確認できた(第4因子を除く)(Table 3)。
(e)について,C校(308名を対象)で結果については以下の通りであった(Table 4)。
【考察】(a)「動物のイメージ」と(e)「好きな動物」の両方で,ウシが3位に入った。牛乳が身近であること,農業高校での関わりが深いことが考えられる。今後普通校との比較が必要である。(b),(c)より,女子の方が男子より動物を飼った割合が高い傾向にあり,癒された経験は有意に高かったことから,青年期における母親への準備期とも考えられる。(d)で得られた因子は,大学生を対象にペットに対する態度を測定した浅川ら(2000)の結果と一致する。Table 1・4の結果より,イヌ,ネコが半数以上占めていることから,青年期にある高校生・大学生が,ペットと動物を同じように捉えていることが示唆された。
【引用文献】浅川 潔司・佐野 智子・古川 雅文・東 由佳・森田 惠子(2000).ペット動物の癒しの効果に関する健康心理学的研究 兵庫教育大学研究紀要,20,115-119.