日本教育心理学会第56回総会

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ポスター発表 PA

(5階ラウンジ)

2014年11月7日(金) 10:00 〜 12:00 5階ラウンジ (5階)

[PA013] 小学校の統廃合による環境移行下の学校適応に関する研究Ⅵ

中学校移行後1年間における対人関係の認識に対する小学校時点での統廃合経験による差異

小林小夜子 (兵庫教育大学大学院)

キーワード:統廃合経験, 中学校移行, 対人関係

目 的
危機的移行を生じさせるような人間-環境システムでの混乱は,生物的(身体的),物理的,心理的,対人的,社会文化的水準における構成要素内あるいは要素間の関係の混乱が移行の性質に衝撃を与える(Wapner, s. & 山本,1991)。小林(2013)は,中学校移行後の対人関係の水準を統廃合経験の有無から検討している。小学校での統廃合経験無群は横の対人関係水準を,統廃合経験有群は縦の対人関係水準をより多く認識することが示された。
しかしながら,統廃合の経験の有無による差異であるかを断定するには,さらにその後に入学する新1年生が同様の結果を呈するか検討する必要がある。そこで,小学校時点で統廃合経験の有無は,中学校入学後の対人認識の水準に差異を生じさせるのか,統廃合経験の要因について検証する。
方 法
対象校:A県B市立G中学校
対象者:A県B市立C,D,E,Fの4小学校で小学校を卒業した中学1年生(50人:統廃合経験無群)。4小学校が統廃合された時点で小学校6年生(40人),5年生(39人),4年生(26人)であり中学校に進学した時点での1年生(統廃合経験有群)。
調査時期:中学1年生時毎月1回定期的に調査(8月を除く)。調査方法:質問紙法。自由記述。
調査内容:「中学生になって,小学校時代と違うことは何ですか。そのとについてどう思いますか。」
結 果
各調査時期に記述されている内容について,対人的水準に関する記載を抽出し,クラスや同学年(1年生)を構成する横の対人関係と,部活などで生じる先輩後輩といった縦の対人関係ついての記述に分類した。表1には,それぞれの記述に対する割合を月別に示している。
表1から以下のことが分かった。①横の対人関係に対する記述割合はいずれの月においても統廃合経験無群の方が統廃合経験有群よりも高い。特に,中学校移行直後4月が最も高い値である。②縦の対人関係に対する記述割合は統廃合経験有群の方が統廃合経験無群よりも高い。特に,中学校移行直後4月が最も高い。③統廃合経験無群の横の関係と統廃合経験有群の縦の関係の認識は類似している。④統廃合経験無群の1年生が2年生に進学した場合は,統廃合経験群と類似の対人関係の水準で認識している。
考 察
これらの結果は,小林(2013)と類似の結果であった。小学校での統廃合経験無群では,中学校進学によって新しい級友の人数が増え,横への広がりが増すことに対する期待が大きく反映したものと考えられる。一方,小学校ですでに統廃合経験有群はおそらく統廃合時点で上述の経験無群と同様の経験を有してきたことが予測される。そのため,中学校入学直後から部活動等を通した先輩後輩といった縦の対人関係に関心を抱くのではないだろうか。このことは,小学校での統廃合経験無群の中学1年生が2年生に進級した時に統廃合経験有群と類似した対人関係を認識していることからも支持される。
引用文献
小林小夜子(2013)小学校の統廃合による環境移行下の学校適応に関する研究Ⅴ,日本教育心理学会第55回総会発表論文集,345.
Wapner, s. & 山本多喜司(1991)エピローグ:残された問題 山本多喜司・ワップナー, S. (編)人生移行の発達心理学 北大路書房 pp. 373-378.