日本教育心理学会第56回総会

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ポスター発表 PA

(5階ラウンジ)

2014年11月7日(金) 10:00 〜 12:00 5階ラウンジ (5階)

[PA026] 画像の提示次元が教材の探索行動に与える影響

スライドショー画像の観察行動からの検討

河村壮一郎1, 嶋田博行2 (1.鳥取短期大学, 2.神戸大学大学院)

キーワード:3次元画像, 探索行動, 教材

目 的
視覚的教育メディアには学習対象の理解を深めるという役割のほかに、対象への興味を高め、学習意欲を向上するという機能があると考えられる。また、興味が高い対象には自発的な学習がなされやすく、探索行動が多くなると期待される。したがって、興味を高めやすい視覚教材に対して、学習者は積極的に探索を行うことが予想される。
本研究では立体視可能な3D画像を教材に用いた実験を行い、2D画像条件と観察行動を比較した。一般に3D画像に対する興味は高いと考えられることから、学習材料を3D画像で提示すると、学習者の探索行動が増加すると予想される。
方 法
大学生が日本の伝統的建物とその保存について自発的に学習するためPowerPoint用のスライドを作成した。学習の対象は倉吉市内の伝統的建造物群保存地区にある建築、施設および文化である。
参加者 建築・デザインを主専攻とする短期大学生が2つのグループに無作為に割り当てられた。2D画像条件20名、3D画像条件20名であった。
材料 PowerPointの教材は5枚のスライドから構成されていた。1枚目が全体的な説明で学習内容の概要とスライドの操作方法を示している。2枚目は左右に分かれている全体マップで、一方をクリックするとそれぞれのマップに移動する。3、4枚目が東西に分けた詳細マップとなっていて、マップ上に写真アイコンが合計20個配置されている。各写真アイコンをクリックすると、その対象の拡大写真と簡単な説明文が別ウインドウに表示される。この拡大写真が条件別に2Dまたは3Dの次元になっている。スライド2、3、4枚目の間は相互に移動が可能である。スライド5枚目はスライドショーの終了を示す。2D条件と3D条件は拡大表示される写真の提示次元のみが異なっている。
装置 提示装置に3D画像を裸眼で観察することができるノート型コンピュータ(東芝 dynabook T852) を用いた。拡大写真の提示ソフトウェアとして3D Visionフォト・ビューワ(NVIDIA)が利用された。
手続き スライドショーの観察行動とその印象を調査した。実験の教示後、参加者は最初のスライドから観察を始めた。観察の順序や時間に制約はなく、参加者はすべての拡大写真を見るこができる一方、すべての写真を見ることなくスライドショーを見終わることも可能である。スライドの観察後、参加者はその印象を5段階の評定用紙上に回答した。
結 果
条件間の拡大写真の平均観察回数をt検定にて比較した結果、有意な差が認められた(t(38)=2.07, p<.05)。また、印象評価の結果から3D条件の方が2D条件よりもスライドに対する興味、印象がともに強いことが明らかになった(t(38)=3.03, p<.01; t(38)=2.34, p<.05)。
考 察
3D画像条件の観察回数が2D画像条件よりも多かった結果から、参加者の探索行動は画像の提示次元に依存することが示唆された。この結果は画像が3次元で提示されると、参加者の興味が強くなったためと考えられる。