The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PA

(5階ラウンジ)

Fri. Nov 7, 2014 10:00 AM - 12:00 PM 5階ラウンジ (5階)

[PA032] 学級風土と担任教師のリーダーシップに対する子どもと教師の認知のズレ

金明ブン1, 田中俊也1 (関西大学)

Keywords:学級風土, リーダーシップ, 認知

目 的
学級に所属している担任教師と子どもたちはそれぞれの役割を果たし,結果としてまとまりの学級や,バラバラの学級などをつくることになる。こうした学級全体がもつ心理社会的な個性は学級風土と呼ばれる。
本研究では担任教師のリーダーシップ(P,M)や学級風土について,教師自身の自己評定と子どもの認知のズレの影響因について検討する。
方 法
調査対象 中国の地方都市の小学校の五,六年生の子ども188名(女92人,男96人,五年生85人,六年生103人)と担任教師7名(女6人,男1人)。得られたデータを分析し,学級風土と担任教師のPM得点について,子どもと教師の認知のズレが一番大きい学級の担任教師を分析の対象とした。
調査方法 担任教師定例会で教師を対象に,またホームルームで生徒を対象に質問紙調査を行った。
質問紙 「小学生用短縮版学級風土質問紙」(伊藤,2009),「教師リーダーシップ行動測定尺度」(三隅,1989)を元に,筆者が訳した中国語版を日本語に熟達している中国人留学生等4名のチェックを経て作成されたもの。
調査日時 2013年5月に質問紙調査,2014年5月に電話で半構造化面接による調査を実施した。
結 果
1.学級風土とPM得点のズレ
図1より,学級風土認知について,「学級内不和」,「学級への満足度」は一致したが他の因子は子どもより教師のほうが高いことがわかる。
また図2より,両者のPM認知について,「P行動」は一致したが,「M行動」は子どもより教師のほうが高いことがわかる。
2.インタービューデータの結果
22分15秒の半構造化インタービューで学級風土各因子を想定した質問と教師の指導法に関する質問に対する回答を得た。
考 察
1.学級風土
「学級内の不和」について両者とも低いと認知したのは,インタービューによると学級の構成員の人柄がよく,教師からみては素直で善良な子が多いからだと考えられる。また「学級への満足度」について両者とも高いと認知したのは,先生からみた生徒の「自然な自己開示」が高く,教師との関係がよかったので満足度が高いと解釈できる。
2.PM
「P行動」について両者とも高いと認知したのは,インタービューによると,教師が自分の指導法について学習成績を上げるのが一番重要だと述べ,落ちこぼれの子によく個別の補習授業を行い,学級全体の平均成績を上げたからだと考えられる。
文 献
伊藤亜矢子(2009).小学生用短縮版学級風土質問紙の作成と活用 コミュニティ心理学研究12,155-169.
三隅二不二・矢守克也(1989).中学校における学級担任教師のリーダーシップ行動測定尺度の作成とその妥当性に関する研究 教育心理学研究37,46-54.