[PA046] 女子短大生に対するグループワークプログラム実践の試み(2)
キーワード:グループワーク, 社会的スキル, 問題解決力
【問題と目的】
近年,短期大学においては,いかに短期間で社会人としての基本的な能力を習得させるかが重要な課題の一つとなっている(森際ら,2012)。特に若者のコミュニケーション力の育成が様々な方面から期待され,「若年者就職基礎能力」の中には具体的なコミュニケーション力として,意思疎通・協調性・自己表現力があげられている(厚生労働省,2007)。そこで高岡ら(2013)は,短期大学において自己表現スキル・自己/他者理解スキル・アサーションスキル・会話維持スキル・問題解決スキルを体験的に学ぶグループワークプログラムを作成し,実践した。より具体的なスキルの向上を目指し,本研究では大きな講義テーマの変更はせずに高岡ら(2013)の内容を一部修正し,実施した。本研究では主にいくつかの社会的スキル,問題解決スキルについてどの程度習得されたか,それによる大学生活の変化について検討した。
【方法】
対象者:プログラム受講者12名(1年生12名),未受講者113名対象者はすべてA短期大学の同学科1年生であった。
プログラムの概要:本プログラムは,各180分,全15回で構成され,2013年4月~7月の講義時間内に実施した。第2回から第9回は社会的スキルを中心に,第10回から第15回は問題解決スキルを中心に扱った。概要についてはTable 1に表わした。
測定尺度:測定尺度としては,①大学生活充実度(奥田ら,2010)②成人用ソーシャルスキル自己評定尺度(相川・藤田,2005),③大学生活充実感尺度(坂柳,1997),④日本語版ユーモアスタイル質問紙(吉田,2012),⑤特性的自己効力感尺度(成田ら,1995),⑥問題解決力尺度短縮版(松尾・岡田・坂野,2003)を使用した。4月(2回目の講義時,以下,time 1),6月(9回目の講義終了時,以下,time 2),7月(15回目の講義時,以下,time 3)の3時点において質問紙調査を実施した。time 1では社会的スキルに関する尺度を,time 2では社会的スキル,問題解決スキル
に関する尺度を,time 3では問題解決スキルに関する尺度を用いた。また,大学生活に関する尺度については,time 1,2,3とも回答を求めた。
【結果と考察】
プログラムの3時点での各指標の変化と群間の差を検討するため,群(プログラム受講者・未受講者)×時点の2要因分散分析を行った。社会的スキルとユーモアスタイルについてはtime 1,time 2の2時点について,問題解決力についてはtime 2 ,time 3の2時点について,大学生活についてはtime 1,time 3の2時点についてそれぞれ分析した。その結果,問題解決力尺度の下位因子である消極的問題解決の交互作用のみ有意傾向であり(F[1,88]=3.10, p<.10),受講者の方が未受講者よりもtime 3において得点が低くなっていたが,その他はいずれも有意な交互作用は見られなかった。しかし,社会的スキルについては時点の主効果が有意(F[1,97]=12.40, p<.01),群の主効果が有意傾向(F[1,97]=3.00, p<.10)であった。2013年度実施の本プログラム受講者は未受講者と比較してtime 1時点ですでに社会的スキルの得点が高かった。また1年生を対象としていることから,大学に慣れていくにつれて社会的スキルも発揮されるようになったと考えられる。
近年,短期大学においては,いかに短期間で社会人としての基本的な能力を習得させるかが重要な課題の一つとなっている(森際ら,2012)。特に若者のコミュニケーション力の育成が様々な方面から期待され,「若年者就職基礎能力」の中には具体的なコミュニケーション力として,意思疎通・協調性・自己表現力があげられている(厚生労働省,2007)。そこで高岡ら(2013)は,短期大学において自己表現スキル・自己/他者理解スキル・アサーションスキル・会話維持スキル・問題解決スキルを体験的に学ぶグループワークプログラムを作成し,実践した。より具体的なスキルの向上を目指し,本研究では大きな講義テーマの変更はせずに高岡ら(2013)の内容を一部修正し,実施した。本研究では主にいくつかの社会的スキル,問題解決スキルについてどの程度習得されたか,それによる大学生活の変化について検討した。
【方法】
対象者:プログラム受講者12名(1年生12名),未受講者113名対象者はすべてA短期大学の同学科1年生であった。
プログラムの概要:本プログラムは,各180分,全15回で構成され,2013年4月~7月の講義時間内に実施した。第2回から第9回は社会的スキルを中心に,第10回から第15回は問題解決スキルを中心に扱った。概要についてはTable 1に表わした。
測定尺度:測定尺度としては,①大学生活充実度(奥田ら,2010)②成人用ソーシャルスキル自己評定尺度(相川・藤田,2005),③大学生活充実感尺度(坂柳,1997),④日本語版ユーモアスタイル質問紙(吉田,2012),⑤特性的自己効力感尺度(成田ら,1995),⑥問題解決力尺度短縮版(松尾・岡田・坂野,2003)を使用した。4月(2回目の講義時,以下,time 1),6月(9回目の講義終了時,以下,time 2),7月(15回目の講義時,以下,time 3)の3時点において質問紙調査を実施した。time 1では社会的スキルに関する尺度を,time 2では社会的スキル,問題解決スキル
に関する尺度を,time 3では問題解決スキルに関する尺度を用いた。また,大学生活に関する尺度については,time 1,2,3とも回答を求めた。
【結果と考察】
プログラムの3時点での各指標の変化と群間の差を検討するため,群(プログラム受講者・未受講者)×時点の2要因分散分析を行った。社会的スキルとユーモアスタイルについてはtime 1,time 2の2時点について,問題解決力についてはtime 2 ,time 3の2時点について,大学生活についてはtime 1,time 3の2時点についてそれぞれ分析した。その結果,問題解決力尺度の下位因子である消極的問題解決の交互作用のみ有意傾向であり(F[1,88]=3.10, p<.10),受講者の方が未受講者よりもtime 3において得点が低くなっていたが,その他はいずれも有意な交互作用は見られなかった。しかし,社会的スキルについては時点の主効果が有意(F[1,97]=12.40, p<.01),群の主効果が有意傾向(F[1,97]=3.00, p<.10)であった。2013年度実施の本プログラム受講者は未受講者と比較してtime 1時点ですでに社会的スキルの得点が高かった。また1年生を対象としていることから,大学に慣れていくにつれて社会的スキルも発揮されるようになったと考えられる。