[PA053] 幼児期の協同性の発達過程と支援(1)
3歳児の発達過程に注目して
Keywords:協同性, 自己形成, エピソード記録
【目的】幼児期においては,協同性の発達が重要な発達の側面と考えられている。その理由としては,それが社会性の発達の表れというだけでなく,自己主張や他者との関係性の調整といった高度な認知的側面を含み,小学校以上の学習にも繋がるからである。そこで,本研究では,幼稚園の先生方によるエピソード記録から,幼児期の協同性の発達過程を描き,その支援のポイントを抽出し,実践し,その評価を行っていくことを目的とした。本報告では,2年間にわたる研究の中から,3歳児の1年間の発達的変化を取り上げ,3歳児の協同性の発達とその支援を中心に論じていく。
【方法】2012年度,阪神間のK市のK公立幼稚園(3歳児2クラス,4歳児1クラス,5歳児2クラス)において,各クラス担任の先生に,各クラス3名の園児を対象として,1年間ないし2年間,継続的にエピソードを記録していただいた。
抽出児は,年度当初対人関係がスムーズに形成できていると思われる幼児と逆に気になる幼児を含んでいる。今回の発表の対象となるエピソード数は,3歳児6名のほぼ月に1~2のエピソード数とし,計89エピソードを分析対象とした。エピソードの分類と支援のポイントの抽出は,筆者と記録した先生方とで話し合いながら行った。
【結果及び考察】仮説的に取りだした「友だちと関わっている姿の視点」は,次のとおりである。(1)居心地のいい場所を見つける。(2)教師や友だちと過ごす心地よさを感じる。(3)繰り返し同じ遊びをする。(4)友だちがしていることを模倣する。(5)友だちの遊びに参加する。(6)イメージや発見したことを伝える。(7)嬉しさや楽しさを共感する。(8)思いや考えを伝え合いながら遊ぶ。(9)友だちと折り合いを付けながら遊ぶ。(10)友だちと相談しながら遊びを進めていく。(11)達成感や満足感を味わう。
この視点に従って,期(ほぼ2か月ごと)ごとに,カテゴリーの出現比率を表したのが図1である。期が進むにつれて,より高次の視点が出現することが示された。しかし,期が進んでも視点(2)のエピソードが出現していることから,その発達過程における支援の重要性が伺われる。
本研究では,個人別にもその変化をとらえている。それぞれが個性的な発達を遂げており,発達過程に関する仮説を修正すべきというデータとはなっていないことも示された。表1は,個人別に視点の変化をまとめたものである。C・D児のように,揺り返しの大きい幼児もいれば,E・F児のように,順調に発達過程をたどっていく子どももいる。しかし,1年間を通して見れば,発達的な変化を遂げていることが示された。
支援のポイントとしては,例えば第2期(6・7・8月)には視点(2)に配慮しながら,子ども同士の関わりを支援するために子どもの代弁を心がけるなどが抽出された。また,第5期(1・2・3月)では,複数の友だちと共有できるような遊びの提案などが抽出された。
謝辞:本研究は,エピソード記録を提供してくださった先生方との共同研究と呼ぶべきものです。ここに感謝の意を表します。
【方法】2012年度,阪神間のK市のK公立幼稚園(3歳児2クラス,4歳児1クラス,5歳児2クラス)において,各クラス担任の先生に,各クラス3名の園児を対象として,1年間ないし2年間,継続的にエピソードを記録していただいた。
抽出児は,年度当初対人関係がスムーズに形成できていると思われる幼児と逆に気になる幼児を含んでいる。今回の発表の対象となるエピソード数は,3歳児6名のほぼ月に1~2のエピソード数とし,計89エピソードを分析対象とした。エピソードの分類と支援のポイントの抽出は,筆者と記録した先生方とで話し合いながら行った。
【結果及び考察】仮説的に取りだした「友だちと関わっている姿の視点」は,次のとおりである。(1)居心地のいい場所を見つける。(2)教師や友だちと過ごす心地よさを感じる。(3)繰り返し同じ遊びをする。(4)友だちがしていることを模倣する。(5)友だちの遊びに参加する。(6)イメージや発見したことを伝える。(7)嬉しさや楽しさを共感する。(8)思いや考えを伝え合いながら遊ぶ。(9)友だちと折り合いを付けながら遊ぶ。(10)友だちと相談しながら遊びを進めていく。(11)達成感や満足感を味わう。
この視点に従って,期(ほぼ2か月ごと)ごとに,カテゴリーの出現比率を表したのが図1である。期が進むにつれて,より高次の視点が出現することが示された。しかし,期が進んでも視点(2)のエピソードが出現していることから,その発達過程における支援の重要性が伺われる。
本研究では,個人別にもその変化をとらえている。それぞれが個性的な発達を遂げており,発達過程に関する仮説を修正すべきというデータとはなっていないことも示された。表1は,個人別に視点の変化をまとめたものである。C・D児のように,揺り返しの大きい幼児もいれば,E・F児のように,順調に発達過程をたどっていく子どももいる。しかし,1年間を通して見れば,発達的な変化を遂げていることが示された。
支援のポイントとしては,例えば第2期(6・7・8月)には視点(2)に配慮しながら,子ども同士の関わりを支援するために子どもの代弁を心がけるなどが抽出された。また,第5期(1・2・3月)では,複数の友だちと共有できるような遊びの提案などが抽出された。
謝辞:本研究は,エピソード記録を提供してくださった先生方との共同研究と呼ぶべきものです。ここに感謝の意を表します。