[PA066] 生活習慣チェックリストの活用の試みⅣ
排泄習慣における保護者と保育者の認識
キーワード:生活習慣, 排泄習慣, 保育
<問題と目的>
多くの保育者は、本来「家庭主導」で生活習慣形成を行うべきと考えているが、今や、不本意ながら生活習慣形成の多くの部分を保育者が担う結果になっており(松田2011)、保育者の負担感につながっている。ことにおむつ離脱や粗相(おもらし)への園での対応は保育者の手間暇がかかり、保育者の負担は大きい。また、保育者と保護者の習慣形成への認識の違いがあれば、両者の協働は困難になると予測される。本調査では、保育者と保護者の生活習慣に関する認識の差異を調査し、なかでも排泄習慣に関する結果を分析して、支援の手立てを検討する。
<方法>
調査方法:保育者用生活習慣チェックリストを作成し(32項目・5件法)、保育者に自分のクラスの園児の生活習慣について、チェックを依頼した。保育者がチェックした園児の保護者に依頼したチェックリスト(金谷・白石:2013)結果と比較して検討した。
調査対象:3歳児(57名)、4歳児(73名)、5歳児(126名)の保護者及び、担当の保育者(10名)に園児の生活習慣の質問紙調査を実施。
実施時期;2013年7月~12月。
<結果と考察>
1.保育者と保護者の排泄習慣しつけ意識
昼間おもらしのしつけは「家庭ですべき」と、保育者は考えているが(100%)、保護者は排泄習慣ができていない3歳児、定着しつつある4歳児、排泄自立が確立する5歳児のいずれにおいても、90%以上が「家庭ですべき」としながらも「園でしつけてほしい」と考えている保護者もいる。Mann-Whitney検定により、保育者と保護者の「昼間のおもらしのしつけ」に関する平均値の差は有意傾向(p<.10)が確認された(Fig.1)。
2.保育者と保護者の生活習慣に関する協働
保育者は保護者との生活習慣に対する意識のズレの要因は何であろうか。保育者は排泄習慣の確立は、個別的指導がこまめに求められるため、対応がしやすい「家庭でしつけるべき」と考えるのであろう。一方、保護者は、集団生活では、成功モデルを子ども自身がみるチャンスがあること、定時排泄が促されることで、必ずトイレに行く機会があることなどから、子どもの動機づけは高めやすいと考え、園での排泄のしつけに期待を寄せる者がいると考えられる。保育者としては、個々の子どもの排泄自立のアセスメントをした上で、園でのおむつ不使用の方針や園での対象児や他児の成功例を保護者に伝えながら、定時排泄の試みを家庭でも実践してもらうよう促すなど、家庭と園との一貫した方針で習慣形成ができるようにしていくことが望ましい。排泄自立には、園児本人への激励と共に、快適おむつ使用に依存しがちな保護者への激励も必要になっている。保育者と保護者の意識のズレをお互いの技量の批判につなげるのではなく、両者の協働の契機と認識できるようであってほしい。今回作成したチェックリストも今後、保育者と保護者の話し合いのツールとなることを期待したい。
<文献>松田純子(2011)幼児の生活をつくるー幼児期の「しつけ」と保育者の役割 実践女子大学紀要48号
白石京子・金谷京子・榛谷都(2013)基本的生活習慣チェックリストの活用の試みⅠ日本教育心理学55回総会
多くの保育者は、本来「家庭主導」で生活習慣形成を行うべきと考えているが、今や、不本意ながら生活習慣形成の多くの部分を保育者が担う結果になっており(松田2011)、保育者の負担感につながっている。ことにおむつ離脱や粗相(おもらし)への園での対応は保育者の手間暇がかかり、保育者の負担は大きい。また、保育者と保護者の習慣形成への認識の違いがあれば、両者の協働は困難になると予測される。本調査では、保育者と保護者の生活習慣に関する認識の差異を調査し、なかでも排泄習慣に関する結果を分析して、支援の手立てを検討する。
<方法>
調査方法:保育者用生活習慣チェックリストを作成し(32項目・5件法)、保育者に自分のクラスの園児の生活習慣について、チェックを依頼した。保育者がチェックした園児の保護者に依頼したチェックリスト(金谷・白石:2013)結果と比較して検討した。
調査対象:3歳児(57名)、4歳児(73名)、5歳児(126名)の保護者及び、担当の保育者(10名)に園児の生活習慣の質問紙調査を実施。
実施時期;2013年7月~12月。
<結果と考察>
1.保育者と保護者の排泄習慣しつけ意識
昼間おもらしのしつけは「家庭ですべき」と、保育者は考えているが(100%)、保護者は排泄習慣ができていない3歳児、定着しつつある4歳児、排泄自立が確立する5歳児のいずれにおいても、90%以上が「家庭ですべき」としながらも「園でしつけてほしい」と考えている保護者もいる。Mann-Whitney検定により、保育者と保護者の「昼間のおもらしのしつけ」に関する平均値の差は有意傾向(p<.10)が確認された(Fig.1)。
2.保育者と保護者の生活習慣に関する協働
保育者は保護者との生活習慣に対する意識のズレの要因は何であろうか。保育者は排泄習慣の確立は、個別的指導がこまめに求められるため、対応がしやすい「家庭でしつけるべき」と考えるのであろう。一方、保護者は、集団生活では、成功モデルを子ども自身がみるチャンスがあること、定時排泄が促されることで、必ずトイレに行く機会があることなどから、子どもの動機づけは高めやすいと考え、園での排泄のしつけに期待を寄せる者がいると考えられる。保育者としては、個々の子どもの排泄自立のアセスメントをした上で、園でのおむつ不使用の方針や園での対象児や他児の成功例を保護者に伝えながら、定時排泄の試みを家庭でも実践してもらうよう促すなど、家庭と園との一貫した方針で習慣形成ができるようにしていくことが望ましい。排泄自立には、園児本人への激励と共に、快適おむつ使用に依存しがちな保護者への激励も必要になっている。保育者と保護者の意識のズレをお互いの技量の批判につなげるのではなく、両者の協働の契機と認識できるようであってほしい。今回作成したチェックリストも今後、保育者と保護者の話し合いのツールとなることを期待したい。
<文献>松田純子(2011)幼児の生活をつくるー幼児期の「しつけ」と保育者の役割 実践女子大学紀要48号
白石京子・金谷京子・榛谷都(2013)基本的生活習慣チェックリストの活用の試みⅠ日本教育心理学55回総会