The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PA

(501)

Fri. Nov 7, 2014 10:00 AM - 12:00 PM 501 (5階)

[PA087] 援助要請行動頻度とその結果としての情動反応

対処努力と本来感との関連

後藤綾文1, 川島一晃1 (三重大学)

Keywords:援助要請行動, 情動反応, 大学生

問題と目的
個人が自身では解決できない悩みを抱えた際に,他者に相談することについて,援助要請行動という視点から研究が進められている。本研究では,援助要請行動とその結果としての情動反応に注目し,これらの関連に,個人の本来感や対処努力がどのような影響を及ぼしているかを検討する。
方法
調査対象と手続き A県内の大学生313 名を対象に,質問紙象調査に実施した。
質問紙の内容 1.援助要請行動頻度:木村・水野(2004)の項目を用い,大学生が悩みを友人に相談する頻度を尋ねた(6項目,4件法)。2.情動反応:寺崎ら(1992)の快感情の項目を用いた(10項目,4件法)。3.対処努力:Proactive Coping Inventory日本語版(Takeuchi & Greenglass,2004)の中から能動的コーピングの項目を用いた(14項目,5件法)。4.主観的幸福感:島井ら(2004)の主観的幸福感尺度を使用した(4項目,7件 法)。
結果
援助要請行動頻度および本来感得点,対処努力得点について,各得点ともに,得点が平均値以上の群を高群,平均未満の群を低群とした。
援助要請行動頻度が高く,本来感が高い群(HH群:n=75),援助要請行動頻度が高く,本来感が低い群(HL群:n=74),援助要請行動頻度が低い群(援助要請なし群:n=140)の3群に分けた。3群において,快情動を従属変数とする1要因3水準の分散分析を行った。その結果,要因の主効果が有意であり(F(2, 286)=15. 56, p<.001),Turkeyの多重比較の結果,援助要請なし群とHH群(p<.001),援助要請なし群とHL群(p<.05),HL群とHH群(p<.05)に有意な差が見られた(Figure 1)。同様に,対処行動についても分析を行った結果,要因の主効果が有意であり(F(2, 286)=15. 56, p<.001),Turkeyの多重比較の結果,援助要請なし群(n=75)と援助要請‐対処努力HH群(n=75, p<.001),援助要請なし群と援助要請‐対処努力HL群(n=75, p<.05),HL群とHH群(p<.05)に有意な差が見られた(Figure 2)。
考察
援助要請行動を行う者は,援助要請行動を行わない者よりも一貫して快情動を感じることが示された。なかでも,自分がありのままで良いと思うことのできる本来感の高い者は,援助要請行動の結果,より快感情を経験しやすいことが示された。一方,対処努力のしやすさにかかわらず,援助要請行動の結果,快情動を感じることが示された。他者への相談がより肯定的な経験とするため今後その背景を探る必要があると考えられる。