[PA099] 「気になる」子どもを発見した時の保育者への支援及び体制づくりに関する研究(2)
T市における連携支援体制への考察
キーワード:特別支援, 社会福祉
【目的】専門機関に対して保育者が「気になる」子どもを発見した時に現在行っている支援を明らかにする。また今後「気になる」子どもを保育者が発見した時に保育者に可能な支援にはどのような内容があるのか,園対専門機関,専門機関対専門機関,それぞれについて明らかにすることを目的とする。なお本論文は亀山洋光2012:「気になる」子どもを発見したときの保育者への支援及び体制づくりに関する研究(日本福祉大学大学院修士論文)の一部を引用して作成している。
【定義】本研究での「気になる」は,保育者の視点で発達障害またはその類似の疑いがあるものの,診断にいたらない子どもを指すものとした。
【方法】アンケート用紙を用いて調査を行い,その後インタビューを行う。調査対象はT市の幼稚園,保育所に関わる専門機関(保健センター,児童相談センター(以下「児相」),療育施設,教育委員会,こども課,家庭児童相談員(以下「家児相」))とする。
【結果と考察】保育者が専門機関に望むことは具体的な指導方法が52.4%,親支援21.9%,継続支援11.4%,専門職による実践・介入9.5%の順であった。専門機関に保育者ニーズに応じられるかについて,専門機関では幼稚園・保育所からの相談を受け,子どもの様子を伺い情報共有と実態把握に努め,電話で対応だけではなく必要であれば園へ訪問もしていた。こども課は,園で困ることがあればすぐに連絡を受けていた。これは公立園が多いためでもあると考える。調査に応じた私立3園のうち2園は指定管理の民間委託であったため連携が取れていると考える。もう1園の園長はもとT市公立の園長を経験しており連携を密にはかっていた。一方,調査に参加しなかった市内の1法人はこども課との連携が少なく,就学時になってようやく教育委員会に情報が伝わるという状況であった。今後,私立の園との情報共有には課題を残す結果であるといえる。専門機関対専門機関との連携について,情報の提供,交換,共有をはかることが重要であることが明らかになった。専門機関に連絡するときの内容で特徴的なのは,児相と家児相に連絡するときは「気になる」子どもの様子が虐待の恐れに関連するときに蜜に連絡をとっていた。この場合ではいかに虐待につながらないようにするかが主訴となる。また,児相や家児相へ「気になる」子どもの対応を聞かれるときはこども発達センターを紹介しており,役割を意識して分担していることが分かった。
インタビューの結果より,保育者が宣告者になることについて,保育者ではその役割を担うべきではない。医師や医療関係者であれば宣告者になれるが,他の専門機関であっても宣告者になることはできないし,避けたほうがよいという意識が明らかになった。保育ニーズにどう応えるかについて,専門機関の担当者も訪問するが,専門家チームの派遣や療育支援の要請をすることによって専門的な支援を確保していることが明らかになった。これは保育者の意識調査の中にある,「園内を問わず保育者自身が支援を受けられる人または機関はありますか」の問いの内訳に,専門家チーム・療育支援は29.3%と上位になっており,一定の保育ニーズに応えていることが明らかになった。こども発達センター,5歳児健診の影響について,発達センター以外の専門機関でも,健診情報をきっかけに情報が得やすくなった。発達センターに専門職が増えたため,保護者に相談先の資源として情報提供できるようになった。
【定義】本研究での「気になる」は,保育者の視点で発達障害またはその類似の疑いがあるものの,診断にいたらない子どもを指すものとした。
【方法】アンケート用紙を用いて調査を行い,その後インタビューを行う。調査対象はT市の幼稚園,保育所に関わる専門機関(保健センター,児童相談センター(以下「児相」),療育施設,教育委員会,こども課,家庭児童相談員(以下「家児相」))とする。
【結果と考察】保育者が専門機関に望むことは具体的な指導方法が52.4%,親支援21.9%,継続支援11.4%,専門職による実践・介入9.5%の順であった。専門機関に保育者ニーズに応じられるかについて,専門機関では幼稚園・保育所からの相談を受け,子どもの様子を伺い情報共有と実態把握に努め,電話で対応だけではなく必要であれば園へ訪問もしていた。こども課は,園で困ることがあればすぐに連絡を受けていた。これは公立園が多いためでもあると考える。調査に応じた私立3園のうち2園は指定管理の民間委託であったため連携が取れていると考える。もう1園の園長はもとT市公立の園長を経験しており連携を密にはかっていた。一方,調査に参加しなかった市内の1法人はこども課との連携が少なく,就学時になってようやく教育委員会に情報が伝わるという状況であった。今後,私立の園との情報共有には課題を残す結果であるといえる。専門機関対専門機関との連携について,情報の提供,交換,共有をはかることが重要であることが明らかになった。専門機関に連絡するときの内容で特徴的なのは,児相と家児相に連絡するときは「気になる」子どもの様子が虐待の恐れに関連するときに蜜に連絡をとっていた。この場合ではいかに虐待につながらないようにするかが主訴となる。また,児相や家児相へ「気になる」子どもの対応を聞かれるときはこども発達センターを紹介しており,役割を意識して分担していることが分かった。
インタビューの結果より,保育者が宣告者になることについて,保育者ではその役割を担うべきではない。医師や医療関係者であれば宣告者になれるが,他の専門機関であっても宣告者になることはできないし,避けたほうがよいという意識が明らかになった。保育ニーズにどう応えるかについて,専門機関の担当者も訪問するが,専門家チームの派遣や療育支援の要請をすることによって専門的な支援を確保していることが明らかになった。これは保育者の意識調査の中にある,「園内を問わず保育者自身が支援を受けられる人または機関はありますか」の問いの内訳に,専門家チーム・療育支援は29.3%と上位になっており,一定の保育ニーズに応えていることが明らかになった。こども発達センター,5歳児健診の影響について,発達センター以外の専門機関でも,健診情報をきっかけに情報が得やすくなった。発達センターに専門職が増えたため,保護者に相談先の資源として情報提供できるようになった。