日本教育心理学会第56回総会

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ポスター発表 PB

(5階ラウンジ)

2014年11月7日(金) 13:30 〜 15:30 5階ラウンジ (5階)

[PB014] 児童の時間管理

冬休み中における宿題の取り組み

岡崎善弘1, 徳永智子2, 井邑智哉3, 高村真広4 (1.岡山大学, 2.宇部フロンティア大学, 3.精華女子短期大学, 4.広島大学)

キーワード:時間管理, 宿題

目 的
長期休暇中(夏休み・冬休み)においては,児童は自分で時間を管理し,宿題を行わなければならない。本研究では,児童(小学4年生~6年生)を対象として,(a)冬休みの宿題を終えるための計画を立てているのか,(b)どのように宿題に取り組んでいるのか,(c)計画の有無によって宿題の取り組み方が異なるのか,三つの観点から冬休み中における宿題の取り組みについて調査した。

方 法
調査対象者 公立の小学生224名(4年生72名(男子39名,女子33名),5年生66名(男子33名,女子33名),6年生86名(男子41名,女子45名)を対象に調査を実施した。平均年齢10.9歳(SD = 0.9歳)。
実施時期 調査を行った小学校の冬休みは12月22日から1月7日までの17日間であった。本調査は冬休み終了日から1週間以内に行った。
質問紙 (a)冬休み前に宿題を計画的に行うための予定を立てたかどうか,(b)冬休みの各時期に宿題にどれくらい取り組んだのかを尋ねた。
予定を立てたかどうか 「冬休み中に宿題を計画的にすすめる予定は立てていましたか」と尋ね,「はい」か「いいえ」で回答を求めた。
各時期に宿題をどれくらい取り組んだのか 「冬休みの前半(12月22日~12月30日)に課題をどのくらい行いましたか」,「冬休みの後半(12月31日~1月7日)に課題をどのくらい行いましたか」と尋ねた。いずれも,「まったくやらなかった(1点)」,「2,3日やった(2点)」,「4,5日やった(3点)」,「ほぼ毎日やった(4点)」の4件法で回答を求めた。

結 果
宿題の取り組みタイプ 冬休み中の宿題の取り組み方を調べるために,クラスタ分析(ウォード法,平均ユーグリッド距離)を行った結果,四つのクラスタを得た。解釈される各クラスタの特徴は以下の通りである。第1クラスタは,冬休みの前半と後半を通してほぼ毎日宿題に取り組む群であったことから,「安定型」と命名した。第2クラスタは,冬休み前半では宿題にある程度取り組むが,後半からさらに取り組む群であったため,「後半集中型」と命名した。第3クラスタは,冬休み前半に集中的に取り組む群であったため,「前半集中型」と命名した。第4クラスタは冬休みを通してほとんど宿題に取り組んでいない群であったため,「逃避型」と命名した。
計画の有無と宿題の取り組み方 計画の有無における宿題の取り組み方の違いを検討するため,各クラスタの割合を,計画を立てた群(n = 147)と立てなかった群(n = 77)ごとに算出した(Table 1)。各クラスタの比率が,計画を立てた群と立てなかった群において異なるかどうかを検討するためにχ2検定を行った。安定型と前半集中型の児童の割合が,計画を立てなかった群よりも計画を立てた群の方に多かった(χ2 (3, n = 224) = 8.28, p < .05)。
考 察
本調査において,児童の約6割が宿題を終えるための計画を立てていることがわかった。宿題の取り組み方は,ほぼ毎日宿題に取り組む安定型,冬休み前半に集中的に取り組む前半集中型,前半で宿題にある程度取り組むが,後半からさらに集中して取り組む後半集中型,冬休みを通してほとんど宿題に取り組んでいない逃避型の四つに分類された。計画を立てた児童の取り組み方は,安定型と前半集中型が多かった。本研究の結果から,児童は,前半集中型と安定型の計画を立てていると推測される。今後の調査では,児童が立てた計画のタイプと実際に宿題に取り組んだ実施タイプが一致しているかどうか調べる必要がある。