[PB023] 日本版KABC-IIの尺度構成と標準化
キーワード:KABC-II, 尺度構成, 標準化
日本版KABC-II(Kaufman, Kaufman & 日本版KABC-II制作委員会, 2013)は2歳6ヶ月から18歳11ヶ月までの子どもを対象とする個別式認知能力検査である。本稿は日本版KABC-IIの尺度構成と標準化に用いたサンプルについて報告する。
尺度と下位検査
(1)日本版KABC-IIと米国版KABC-II 米国版K-ABC(Kaufman & Kaufman, 1983)は認知処理能力と習得度を測定したが,改訂版である米国版KABC-II(Kaufman & Kaufman, 2004a)は認知処理能力のみを測定し,習得度を測定する下位検査はKTEA-II(Kaufman & Kaufman, 2004b)へ吸収された。一方,日本版K-ABCは米国版K-ABCと同様に認知処理能力と習得度を測定し,改訂版の日本版KABC-IIも認知処理能力と習得度を測定する。ここに日本版KABC-IIの特長がある。
(2)依拠する理論と尺度 総計11の下位検査によりルリアの神経心理学理論に基づく継次処理,同時処理,計画,学習の認知処理能力を測定する。また,総計9の下位検査により,語彙,読み,書き,算数の習得度を測定する。標準化サンプルにより,下位検査は認知能力に関するキャッテル-ホーン-キャロル(CHC)理論に適合することが確認された。
(3)尺度を構成する下位検査 継次尺度(短期記憶;括弧内はCHC理論に基づく広範的能力名)は「数唱,語の配列,手の動作」,同時尺度(視覚処理尺度)は「顔さがし,絵の統合(ルリア理論のみ),近道さがし,模様の構成」,計画尺度(流動性推理尺度)は「物語の完成,パターン推理」,学習尺度(長期記憶と検索尺度)は,「語の学習,語の学習遅延」,語彙尺度(結晶性能力尺度)は「表現語彙,なぞなぞ,理解語彙」,算数尺度(量的知識尺度)は「数的推論,計算」,読み尺度・書き尺度(読み書き尺度)は「ことばの読み,ことばの書き,文の理解,文の構成」である。実施下位検査数は,3歳未満が7,3歳と4歳が10,5歳が12,6歳が16,7歳以上が19である。
尺度の詳細については今後,報告する。
標準化に用いたサンプルと検査者
(1)サンプル 平成17年国勢調査と平成20年度学校基本調査報告書に基づいて,地域の人口に比例してサンプルを抽出することとした。また,特別支援学校と僻地等指定学校に在籍する児童・生徒の割合がそれぞれ約1%と約2%であったことから,その割合に応じて軽度障害児(者)と僻地等指定学校に在籍する児童・生徒,16歳以上については指定校の近隣に居住する生徒を含むこととした。本調査は2009年8月から2010年10月にかけて実施された。
総計2587名のサンプルのうち,東日本(21都道県)が全体の60.4%,西日本(22府県)が39.6%であった。2005年度の人口比は東日本が59.3%,西日本が40.7%であるから,ほぼ人口比に按分している。男子が全体の48.9%,女子が51.1%を占めた。軽度障害児(者)は全体の1.6%,僻地指定校に在籍する児童・生徒及び指定校の近隣に居住するサンプル(16歳以上)は2.2%を占めた。年齢を6ヶ月単位で区切ると,各年齢段階のサンプルは63名から96名(平均78.4名,第1四分位数72.0名,第3四分位数85.0名)であった。
(2)検査者 日本版K-ABCの実施方法に習熟している者が日本版KABC-IIの実施方法について詳しい説明を受けた後,検査を実施した。
引用文献
Kaufman,A.S., & Kaufman,N.L. (2004a). Kaufman Assessment Battery for Children, Second Edition. Circle Pines, MN: AGS Publishing.
Kaufman,A.S., Kaufman,N.L., & 日本版KABC-II制作委員会 (2013). 日本版KABC-II 丸善出版
尺度と下位検査
(1)日本版KABC-IIと米国版KABC-II 米国版K-ABC(Kaufman & Kaufman, 1983)は認知処理能力と習得度を測定したが,改訂版である米国版KABC-II(Kaufman & Kaufman, 2004a)は認知処理能力のみを測定し,習得度を測定する下位検査はKTEA-II(Kaufman & Kaufman, 2004b)へ吸収された。一方,日本版K-ABCは米国版K-ABCと同様に認知処理能力と習得度を測定し,改訂版の日本版KABC-IIも認知処理能力と習得度を測定する。ここに日本版KABC-IIの特長がある。
(2)依拠する理論と尺度 総計11の下位検査によりルリアの神経心理学理論に基づく継次処理,同時処理,計画,学習の認知処理能力を測定する。また,総計9の下位検査により,語彙,読み,書き,算数の習得度を測定する。標準化サンプルにより,下位検査は認知能力に関するキャッテル-ホーン-キャロル(CHC)理論に適合することが確認された。
(3)尺度を構成する下位検査 継次尺度(短期記憶;括弧内はCHC理論に基づく広範的能力名)は「数唱,語の配列,手の動作」,同時尺度(視覚処理尺度)は「顔さがし,絵の統合(ルリア理論のみ),近道さがし,模様の構成」,計画尺度(流動性推理尺度)は「物語の完成,パターン推理」,学習尺度(長期記憶と検索尺度)は,「語の学習,語の学習遅延」,語彙尺度(結晶性能力尺度)は「表現語彙,なぞなぞ,理解語彙」,算数尺度(量的知識尺度)は「数的推論,計算」,読み尺度・書き尺度(読み書き尺度)は「ことばの読み,ことばの書き,文の理解,文の構成」である。実施下位検査数は,3歳未満が7,3歳と4歳が10,5歳が12,6歳が16,7歳以上が19である。
尺度の詳細については今後,報告する。
標準化に用いたサンプルと検査者
(1)サンプル 平成17年国勢調査と平成20年度学校基本調査報告書に基づいて,地域の人口に比例してサンプルを抽出することとした。また,特別支援学校と僻地等指定学校に在籍する児童・生徒の割合がそれぞれ約1%と約2%であったことから,その割合に応じて軽度障害児(者)と僻地等指定学校に在籍する児童・生徒,16歳以上については指定校の近隣に居住する生徒を含むこととした。本調査は2009年8月から2010年10月にかけて実施された。
総計2587名のサンプルのうち,東日本(21都道県)が全体の60.4%,西日本(22府県)が39.6%であった。2005年度の人口比は東日本が59.3%,西日本が40.7%であるから,ほぼ人口比に按分している。男子が全体の48.9%,女子が51.1%を占めた。軽度障害児(者)は全体の1.6%,僻地指定校に在籍する児童・生徒及び指定校の近隣に居住するサンプル(16歳以上)は2.2%を占めた。年齢を6ヶ月単位で区切ると,各年齢段階のサンプルは63名から96名(平均78.4名,第1四分位数72.0名,第3四分位数85.0名)であった。
(2)検査者 日本版K-ABCの実施方法に習熟している者が日本版KABC-IIの実施方法について詳しい説明を受けた後,検査を実施した。
引用文献
Kaufman,A.S., & Kaufman,N.L. (2004a). Kaufman Assessment Battery for Children, Second Edition. Circle Pines, MN: AGS Publishing.
Kaufman,A.S., Kaufman,N.L., & 日本版KABC-II制作委員会 (2013). 日本版KABC-II 丸善出版