[PB040] 大学生の障害者に対する意識2
Keywords:障害者, 意識
昨年の報告において、それ以前から継続していた障害者に対する大学生の一連の研究の結果をある程度まとめた。それらの報告は、リッカート法およびコンジョイント分析(全概念法)による方法についての比較をしつつ、横断的または縦断的な検討をおこなったものであった。それらの結果から、対障害者と対健常者に対する意識は、多少の項目を除けば全体としてはあまり差がないという結果が得られた。この理由の一つとして質問項目を再度検討する必要性があると考え、新たに、コンジョイント分析用の項目を作成した(豊村,2014)。今回はここで作成した質問項目による結果について報告する。
【方 法】
被験者:若干の回答不備者を除き、最終的に分析をした被験者は1回目は135名(男性45名、女性90名)、2回目は126名(男性42名、女性84名)、3回目は118名(男性34名、女性84名)であった(これらの被験者は同じ講義内で同じ質問紙を1ヶ月間隔で3回行った)。なお、1~3回目まで続けて回答を得られ、かつ分析対象となった者は96名であった。
手続き:大学の講義の時間を利用し、質問紙を配布、その場で回答してもらい回収した。
質問紙:
性別、学籍番号、学年、年齢の基本属性の他に第一報告で作成したリッカート尺度および全概念尺度、想起した障害、障害者との接触に関する内容(経験、自発性、内容、今後の接触に関する意欲)であった。
全概念尺度での要因は「人当り」、「人付き合い」、「社会適応力」、「見た目」の4要因としすべて3水準であった。健常者、障害者について各11項目、計22項目で、7件法で回答を求めた。
障害種別は、調査対象者が障害者について評定をしたときにイメージしていた障害を、精神障害、 知的障害、身体障害、 障害全般、その他の5項目から1つ選択させた。
なお、調査実施の際に、参加は任意であること、得られた結果は研究の目的以外で使用されないこと、個人のデータが開示されることはないことを説明し了承を得ていた。
【結果と考察】
調査は同じ被験者に対して一ヶ月の期間を空け3回実施した。
対健常者についての意識の平均相対重要度を算出した。平均相対重要度とは、コンジョイント分析で設定した各要因について、調査対象者がいずれを重要視しているかを相対的に示す指標である。
ほぼ3回とも同じ地域で暮らしていく人物に求める要因として最も重要視されていたのは「人当り」の要因であり、2番目に「社会適応力」、3番目に「人付き合い」、4番目に「見た目」の要因であった。1~3回目の相対重要度を比較すると、1回目や2回目よりも3回目の方が「人当り」の要因を重視する傾向が見られた。
次に対健常者について最も好まれる各要因の水準の組み合わせについて検討した。すべての要因で「人当り」では「良い」、「社会適応力」では「高い」、「見た目」では「良い」、「人付き合い」では「積極的」であった。
対障害者の平均相対重要度は、対健常者と同じ結果となり、むしろ回を重ねても健常者以上にほぼ一定の値を示した。
対障害者の最も好まれる各要因の水準の組み合わせについては、1回目は対健常者と同じであったが、2回目は「見た目」が「良い」から「普通」に、3回目は、それに加えて「人付き合い」が「積極的」から「普通」へと変化した。
これらの結果から、同じ地域での共生の条件として、健常者に対しては理想的なものになりがちだが、障害者に対しては自身に直接影響を与えやすい「人当り」と「社会適応力」さえ良い水準であれば「見た目」と「人付き合い」は普通でもよいという認識になったのだと考えた。
なお、本報告は非会員の西舘裕子氏および樋口花美氏との共同研究である。
【引用文献】
豊村和真 2014大学生の障害者に対する意識 第81回応用心理学会発表論文集
【方 法】
被験者:若干の回答不備者を除き、最終的に分析をした被験者は1回目は135名(男性45名、女性90名)、2回目は126名(男性42名、女性84名)、3回目は118名(男性34名、女性84名)であった(これらの被験者は同じ講義内で同じ質問紙を1ヶ月間隔で3回行った)。なお、1~3回目まで続けて回答を得られ、かつ分析対象となった者は96名であった。
手続き:大学の講義の時間を利用し、質問紙を配布、その場で回答してもらい回収した。
質問紙:
性別、学籍番号、学年、年齢の基本属性の他に第一報告で作成したリッカート尺度および全概念尺度、想起した障害、障害者との接触に関する内容(経験、自発性、内容、今後の接触に関する意欲)であった。
全概念尺度での要因は「人当り」、「人付き合い」、「社会適応力」、「見た目」の4要因としすべて3水準であった。健常者、障害者について各11項目、計22項目で、7件法で回答を求めた。
障害種別は、調査対象者が障害者について評定をしたときにイメージしていた障害を、精神障害、 知的障害、身体障害、 障害全般、その他の5項目から1つ選択させた。
なお、調査実施の際に、参加は任意であること、得られた結果は研究の目的以外で使用されないこと、個人のデータが開示されることはないことを説明し了承を得ていた。
【結果と考察】
調査は同じ被験者に対して一ヶ月の期間を空け3回実施した。
対健常者についての意識の平均相対重要度を算出した。平均相対重要度とは、コンジョイント分析で設定した各要因について、調査対象者がいずれを重要視しているかを相対的に示す指標である。
ほぼ3回とも同じ地域で暮らしていく人物に求める要因として最も重要視されていたのは「人当り」の要因であり、2番目に「社会適応力」、3番目に「人付き合い」、4番目に「見た目」の要因であった。1~3回目の相対重要度を比較すると、1回目や2回目よりも3回目の方が「人当り」の要因を重視する傾向が見られた。
次に対健常者について最も好まれる各要因の水準の組み合わせについて検討した。すべての要因で「人当り」では「良い」、「社会適応力」では「高い」、「見た目」では「良い」、「人付き合い」では「積極的」であった。
対障害者の平均相対重要度は、対健常者と同じ結果となり、むしろ回を重ねても健常者以上にほぼ一定の値を示した。
対障害者の最も好まれる各要因の水準の組み合わせについては、1回目は対健常者と同じであったが、2回目は「見た目」が「良い」から「普通」に、3回目は、それに加えて「人付き合い」が「積極的」から「普通」へと変化した。
これらの結果から、同じ地域での共生の条件として、健常者に対しては理想的なものになりがちだが、障害者に対しては自身に直接影響を与えやすい「人当り」と「社会適応力」さえ良い水準であれば「見た目」と「人付き合い」は普通でもよいという認識になったのだと考えた。
なお、本報告は非会員の西舘裕子氏および樋口花美氏との共同研究である。
【引用文献】
豊村和真 2014大学生の障害者に対する意識 第81回応用心理学会発表論文集