[PB043] 発達障害児を対象とし感情調整に焦点を当てた小集団SST
バイオフィードバックとカードゲームの指導を通して
Keywords:発達障害, 感情調整, ソーシャルスキルトレーニング
目的
不快感情の理解と調整をねらいとして,白井・武蔵(2010)のプログラムに加えて,落ち着く状態を客観的に知るためにバイオフィードバック法,感情の調整法を繰り返して練習するためにカードゲームを取り入れた指導を行った。本SSTの指導は,対象児が自分自身の感情を知り,適切に調整することに有効であったかを検討する。
方法
1.対象児
小学校に通う小学校4~6年生の男児6名。感情面に困難を示し,学校でトラブルが生じていた。
2.指導期間と指導環境
201x年8月~翌年1月までの6か月間,計10回行った。K大学集団療法室で,主指導者1名,補助者2名により,理解しやすいようにプロジェクターや手がかり表示を用いて指導した。
3.指導の流れと指導内容,指導教材
1セッションは2時間とし,「はじまりの会」「宿題発表会」「スキルトレーニング1」「休憩」「スキルトレーニング2」「ゲーム」「ふりかえり」「おわりの会」の流れで行った。
各回の指導内容を表に示すようであった。
感情の6つの調整方法をキャラクター化し「カンジョウレンジャー」として示した。emWave2(HeartMath社製)を用いてバイオフィードバックを行った。カードゲームを活用して,イライラや不安な場面に,カンジョウレンジャーカードで戦いながらクリアしていくルールを設定した。
4.評価
指導開始前(事前)と終了時(事後),指導終了3ヶ月後に,日本版マトソン年少者社会的スキル尺度(MESSY-R),PSI小学生用ストレス反応尺度(PSI-SR),「あきらくんの家での出来事」の3つの評価尺度を,対象児に自己評価させた。
結果
対象児のうち,C児とE児の結果を示す。
C児は,MESSY-Rの因子がいずれも平均の範囲であり,PSI-SRでは無力感のパーセンタイル値が低くなった(図1)。あきらくんでは「宿題を持って友だちの家に遊びに行く。」と回答した。
E児は,MESSY-Rの友人関係抑制と孤立逃避が平均の上で,自己顕示が低かった。PSI-SRでは身体症状,不機嫌・怒り,無力感のパーセンタイル値ともに高いままであった(図2)。あきらくんでは「カーテンを閉めて耳栓をする。お母さんに教えてもらい早く終わる。」と回答した。
考察
バイオフィードバック機器の利用では,変化を実感できずにいる児童がいた。機器を使用する目的と結びつけていく工夫が必要である。
カードゲームの活用は調整方法を繰り返し学ぶことができた。自分に合った調整方法を考えさせることなどが検討課題である。
*原田直弥さんほか、多くの方の協力を得た。
不快感情の理解と調整をねらいとして,白井・武蔵(2010)のプログラムに加えて,落ち着く状態を客観的に知るためにバイオフィードバック法,感情の調整法を繰り返して練習するためにカードゲームを取り入れた指導を行った。本SSTの指導は,対象児が自分自身の感情を知り,適切に調整することに有効であったかを検討する。
方法
1.対象児
小学校に通う小学校4~6年生の男児6名。感情面に困難を示し,学校でトラブルが生じていた。
2.指導期間と指導環境
201x年8月~翌年1月までの6か月間,計10回行った。K大学集団療法室で,主指導者1名,補助者2名により,理解しやすいようにプロジェクターや手がかり表示を用いて指導した。
3.指導の流れと指導内容,指導教材
1セッションは2時間とし,「はじまりの会」「宿題発表会」「スキルトレーニング1」「休憩」「スキルトレーニング2」「ゲーム」「ふりかえり」「おわりの会」の流れで行った。
各回の指導内容を表に示すようであった。
感情の6つの調整方法をキャラクター化し「カンジョウレンジャー」として示した。emWave2(HeartMath社製)を用いてバイオフィードバックを行った。カードゲームを活用して,イライラや不安な場面に,カンジョウレンジャーカードで戦いながらクリアしていくルールを設定した。
4.評価
指導開始前(事前)と終了時(事後),指導終了3ヶ月後に,日本版マトソン年少者社会的スキル尺度(MESSY-R),PSI小学生用ストレス反応尺度(PSI-SR),「あきらくんの家での出来事」の3つの評価尺度を,対象児に自己評価させた。
結果
対象児のうち,C児とE児の結果を示す。
C児は,MESSY-Rの因子がいずれも平均の範囲であり,PSI-SRでは無力感のパーセンタイル値が低くなった(図1)。あきらくんでは「宿題を持って友だちの家に遊びに行く。」と回答した。
E児は,MESSY-Rの友人関係抑制と孤立逃避が平均の上で,自己顕示が低かった。PSI-SRでは身体症状,不機嫌・怒り,無力感のパーセンタイル値ともに高いままであった(図2)。あきらくんでは「カーテンを閉めて耳栓をする。お母さんに教えてもらい早く終わる。」と回答した。
考察
バイオフィードバック機器の利用では,変化を実感できずにいる児童がいた。機器を使用する目的と結びつけていく工夫が必要である。
カードゲームの活用は調整方法を繰り返し学ぶことができた。自分に合った調整方法を考えさせることなどが検討課題である。
*原田直弥さんほか、多くの方の協力を得た。