日本教育心理学会第56回総会

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ポスター発表 PB

(5階ラウンジ)

2014年11月7日(金) 13:30 〜 15:30 5階ラウンジ (5階)

[PB052] 「気になる」児童の学級満足度の変化

5年間の縦断的調査から

相澤雅文 (京都教育大学)

キーワード:小学校, 「気になる」児童, 縦断的調査

目的:「知的側面」について顕著な遅れは認められないものの,行動や感情をコントロールが難しい,他者とのコミュニケーションがうまく取れないなど,学級集団への適応に課題をかかえる「気になる」児童への対応が小学校では大きな課題となっている。本研究では学級担任が「気になる」児童の様相と学級満足度尺度(心理尺度hyper-QU:Questionnaire-Utilitiesによる)の変化を5年間に渡り縦断的調査を行った。教師が「気になる」児童の様相と学級満足度との関連について検討することを目的とした。
方法:1.対象:小学校の通常学級において学級担任が「気になる」と回答した児童を対象とした。継続観察した学級は単級のためクラス替えはない。
2.質問紙調査の期間及び方法:2XXX年~2XXX+4年(1年生から5年生まで)の5年間,6月-7月期,12月-1月期の年2回,「気になる」児童のチェックリスト及びhyper-QUを実施した。「気になる」児童のチェックリストは本郷・相澤(2008)が作成したものを用いた。
結果と考察:図内の①は1年生の6月-7月期,?は1年生の12月-1月期を示している。矢印で経時的に示した。担任が「気になる」児童と回答した時期は数字を□で囲んで示した。
図1は,3年生で初めて担任が「気になる」児童としたケースである。小学校1年生の6月-7月期は非承認群に属しているが被侵害得点は低い状態であった。12月-1月期は一気に要支援群に移行している。2年生の6月-7月期に承認得点が上昇しているものの,12月-1月期に再び要支援群に入った。3年生の6月-7月期に気になる児童とされた行動は「一度怒るとなかなかおさまらない」,「どうでもいい,どうせだめなどのことばがでる」,「ちょっとしたことでも意地悪をされたと思ってしまう」などがあげられていた。5年生の12月-1月期「気になる」児童にあげられているものの気になる行動は落ち着く傾向にあった。その後,担任から継続的な支援が行われ,担任との関係づくりが効果的であったと考えられた。
図2は低学年では「気になる」児童となっていたが,学年進行と共に「気になる」行動が落ち着いたケースである。1年生時の「気になる」行動は「集団場面で集中できない」,「全体への指示に従わない」,「具体的な指示をしないと理解できない」などであった。4年以降は「気になる」児童にあげられていない。非承認群と学校生活満足群とを行き来しているが担任や他児との関係,分かりやすい情報提供が効果的であったと考えられた。