[PB054] 若手(2-5年目)教師に対するサポートニーズと支援体制のあり方
公立小学校教師の検討
Keywords:若手教師, サポートニーズ, 公立小学校
Ⅰ.はじめに
教師歴2年目以降は,教科学習に関する指導は研究会・研修等を通して研鑽を積むことはできるが,生徒指導・教育相談に関わる対応や,発達障害児への支援については,初年度とは異なりサポートが少なく担任のマンパワーによる取り組みが大きなウエイトを占めている。そこで,若手教師にとって,相談・支援の分野では学校内における支援体制を活用するための工夫と,学校外のサポート体制の充実が重要となると考える。本研究は,児童の特別な教育的ニーズに合わせた相談・支援を展開していくことが求められる小学校に勤務する教師歴が2~5年以内の若手教師を調査協力者として,彼らの相談・支援分野におけるサポートニーズを把握し,サポート体制の在り方を検討することを目的とする。
Ⅱ.方法
2.1 調査期間・方法: 2013年7月に郵送法にて実施した。
2.2 調査協力者: 首都圏の公立小学校980校に勤務する若手教師(教師歴2~5年)を調査協力者とした。
2.3 調査内容: ①教科や学級経営及び指導上の情報・対応策に関する項目,②過去に関わった特別な教育的ニーズのある児童の対応策に関する項目,③生徒への相談や支援を充実させていく上で重要だと思う連携相手に関する項目,④特別支援教育や生活指導・教育相談の分野における研修やサポート体制に関する項目,⑤児童への相談・支援に関して,学校内外における若手教師へのサポートに関する項目(全て4件法)。
Ⅲ.結果
3.1 回収率と調査協力者について: 311校の若手教師より回答が得られた(回収率,31.8%)。勤務年数は,平均3.20年(SD=1.07)であった。
3.2 教科や学級経営及び指導上の情報・対応策: 教科指導に関する情報や対応策を最も期待していることが示された(134名,43.2%)。特別支援教育や生活指導・教育相談に関する情報・対応策を期待している教師は,117名(37.6%)であった。
3.3 過去に関わった特別な教育的ニーズのある生徒の支援ニーズ: 発達障害又はその疑いのある児童に対して最も支援ニーズを抱いていることが示された(164名,54.3%)。次いで,学習面に課題のある児童への支援ニーズが高かった(161名,52.1%)。
3.4 生徒への相談や支援を充実させていく上で必要な連携: 保護者と連携を深めていくことを最も重要視していることが示された(155名,49.8%)。スクールカウンセラー等との連携は,80名(26.1%)であった。
3.5 特別支援教育や生活指導・教育相談の分野における研修やサポート体制: 教育委員会主催(行政)の研修会による研鑽を最も期待していることが示された(105名,34.5%)。
3.6 生徒への相談・支援に関して,学校内外における若手教師へのサポート:A.サポート体制の疑問・要望/ 仕事が多忙だから,研修会等の参加が難しいと思うという意見が最も多かった(132名,42.6%)。B.具体的なサポート内容に関する疑問・要望/ どのように,問題点を整理して子どもへの支援を進めていけばよいか教えてほしいという要望が最も多くあげられた(189名,61.0%)。
Ⅳ.考察
公立小学校の若手教師は,特別支援教育や生活指導・教育相談よりも,教科指導に関する情報を欲していることが示された。若手教師は主として教科指導の充実を優先し,相談・支援分野の技量を高めたいというニーズは,それほど芽生えていないことが推測された。また,相談・支援分野では,発達障害児への対応についてニーズを感じていることが示された。そして,相談・支援を充実させるには,保護者との連携を最も重要視していることが明らかとなった。そのため,若手教師は,生徒への相談・支援の第一歩として,具体的な問題把握・整理の技量を身に付けることをサポートニーズとして高く評価していると示唆される。今後は,スクールカウンセラー等の専門家と活発な協働を可能とする校内サポート体制の充実を図ることが,若手教師の相談・支援分野のニーズを高め,特別な教育的ニーズのある児童の学校適応に必要な技量を,より効果的に習得することに繋がるだろう。
教師歴2年目以降は,教科学習に関する指導は研究会・研修等を通して研鑽を積むことはできるが,生徒指導・教育相談に関わる対応や,発達障害児への支援については,初年度とは異なりサポートが少なく担任のマンパワーによる取り組みが大きなウエイトを占めている。そこで,若手教師にとって,相談・支援の分野では学校内における支援体制を活用するための工夫と,学校外のサポート体制の充実が重要となると考える。本研究は,児童の特別な教育的ニーズに合わせた相談・支援を展開していくことが求められる小学校に勤務する教師歴が2~5年以内の若手教師を調査協力者として,彼らの相談・支援分野におけるサポートニーズを把握し,サポート体制の在り方を検討することを目的とする。
Ⅱ.方法
2.1 調査期間・方法: 2013年7月に郵送法にて実施した。
2.2 調査協力者: 首都圏の公立小学校980校に勤務する若手教師(教師歴2~5年)を調査協力者とした。
2.3 調査内容: ①教科や学級経営及び指導上の情報・対応策に関する項目,②過去に関わった特別な教育的ニーズのある児童の対応策に関する項目,③生徒への相談や支援を充実させていく上で重要だと思う連携相手に関する項目,④特別支援教育や生活指導・教育相談の分野における研修やサポート体制に関する項目,⑤児童への相談・支援に関して,学校内外における若手教師へのサポートに関する項目(全て4件法)。
Ⅲ.結果
3.1 回収率と調査協力者について: 311校の若手教師より回答が得られた(回収率,31.8%)。勤務年数は,平均3.20年(SD=1.07)であった。
3.2 教科や学級経営及び指導上の情報・対応策: 教科指導に関する情報や対応策を最も期待していることが示された(134名,43.2%)。特別支援教育や生活指導・教育相談に関する情報・対応策を期待している教師は,117名(37.6%)であった。
3.3 過去に関わった特別な教育的ニーズのある生徒の支援ニーズ: 発達障害又はその疑いのある児童に対して最も支援ニーズを抱いていることが示された(164名,54.3%)。次いで,学習面に課題のある児童への支援ニーズが高かった(161名,52.1%)。
3.4 生徒への相談や支援を充実させていく上で必要な連携: 保護者と連携を深めていくことを最も重要視していることが示された(155名,49.8%)。スクールカウンセラー等との連携は,80名(26.1%)であった。
3.5 特別支援教育や生活指導・教育相談の分野における研修やサポート体制: 教育委員会主催(行政)の研修会による研鑽を最も期待していることが示された(105名,34.5%)。
3.6 生徒への相談・支援に関して,学校内外における若手教師へのサポート:A.サポート体制の疑問・要望/ 仕事が多忙だから,研修会等の参加が難しいと思うという意見が最も多かった(132名,42.6%)。B.具体的なサポート内容に関する疑問・要望/ どのように,問題点を整理して子どもへの支援を進めていけばよいか教えてほしいという要望が最も多くあげられた(189名,61.0%)。
Ⅳ.考察
公立小学校の若手教師は,特別支援教育や生活指導・教育相談よりも,教科指導に関する情報を欲していることが示された。若手教師は主として教科指導の充実を優先し,相談・支援分野の技量を高めたいというニーズは,それほど芽生えていないことが推測された。また,相談・支援分野では,発達障害児への対応についてニーズを感じていることが示された。そして,相談・支援を充実させるには,保護者との連携を最も重要視していることが明らかとなった。そのため,若手教師は,生徒への相談・支援の第一歩として,具体的な問題把握・整理の技量を身に付けることをサポートニーズとして高く評価していると示唆される。今後は,スクールカウンセラー等の専門家と活発な協働を可能とする校内サポート体制の充実を図ることが,若手教師の相談・支援分野のニーズを高め,特別な教育的ニーズのある児童の学校適応に必要な技量を,より効果的に習得することに繋がるだろう。