The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PB

(5階ラウンジ)

Fri. Nov 7, 2014 1:30 PM - 3:30 PM 5階ラウンジ (5階)

[PB059] 「ひとりの時間」の過ごし方(行動)尺度の作成

増淵裕子1, 今城周造2 (1.昭和女子大学, 2.昭和女子大学大学院)

Keywords:「ひとりの時間」, 青年期, 大学生

【問題と目的】
増淵(海野)(2014)は,「ひとりの時間」の意味を尋ねる予備調査から項目収集を行い,「ひとりの時間」の過ごし方(意味づけ)尺度を作成している(以下,「意味づけ尺度」とする)。この尺度は,それぞれの意味の時間(例.落ち着く時間等)として過ごす頻度を尋ねるものであり,青年が「ひとりの時間」をそれぞれの意味づけの時間として過ごす頻度は測定できるが,「ひとりの時間」に具体的にどのような行動をしているかという点から構成されたものではない。そこで,本研究では,青年が「ひとりの時間」をどのように過ごしているかについて,具体的行動を測定するための尺度を作成することを目的とする。
【方法】
調査対象 大学生女子213名を調査対象とし,そのうち,不回答を希望した4名を除く209名(1年91名・3年45名・4年69名・学年不明4名)を分析対象とした。
調査時期 2013年10月。
実施方法 授業時間等を利用して集団実施した。質問紙には,調査に協力したくない場合に×印を記入する欄を設け,これらの者は分析対象から除外した。
調査内容 「ひとりの時間」の過ごし方(行動)に関する自由記述形式の予備調査(N=100)で得られた項目を基に,大学教員2名と大学生1名で検討を行い,54項目を作成した。「あなたが普段『ひとりの時間』をどのように過ごしているのかについて,質問します。以下の内容について,あてはまる数字に○をつけて下さい。」と教示し,「いつもする(5)」「しばしばする(4)」「ときどきする(3)」「ほとんどしない(2)」「「まったくしない(1)」の5件法で回答を求めた。
【結果と考察】
最尤法・プロマックス回転による因子分析を行い,固有値の推移と解釈可能性から4因子解が妥当と判断した。最大因子負荷量が.40未満であった項目(計26項目)を除外し,因子数を4に指定して再度因子分析を行い,最終的な因子パターンを得た。結果をTable 1に示す。回転前の4因子で25項目の全分散の53.64%を説明した。第1因子に負荷量の高い項目は,自己を内省したり考えを整理したりする行動を表していると考えられ,「思考・内省」因子と命名した。第2因子に負荷量の高い項目は,何もせずにゆっくりしたり休憩したりする行動を表していると考えられ,「休息・解放」因子と命名した。第3因子に負荷量の高い項目は,インターネットやSNS,メール,電話などでコミュニケーションする行動を表していると考えられ,「コミュニケーション」因子と命名した。第4因子に負荷量の高い項目は,趣味に没頭したり,趣味に関する練習や勉強をしたりする行動を表していると考えられ,「趣味」因子と命名した。Cronbachのα係数は,第1因子が.90,第2因子が.86,第3因子が.79,第4因子が.70であり,内的一貫性が確認された。
意味づけ尺度(増淵, 2014)は,「自己内省」・「自己解放」・「個人的活動への没頭」・「ストレスからの解放」の4下位尺度から構成されているが,本研究で得られた「思考・内省」は「自己内省」に,「休息・解放」は「自己解放」に,「趣味」は「個人的活動への没頭」に内容的に対応していると考えられる。また,「コミュニケーション」は,意味づけ尺度(増淵, 2014)にはない内容であり,「ひとりの時間」に単独行為だけでなく,インターネットやSNS等によりコミュニケーション行為を行っていることが示された。このことは,「ひとりの時間」にもつながりを求める現代青年の特徴を表していると考えられる。

注)本研究は,今城周造教授(昭和女子大学)の指導により執筆された平成25年度卒業論文(昭和女子大学 杉山花梨)において,著者らと杉山氏が共同開発した尺度に関する成果を報告するものである。