日本教育心理学会第56回総会

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ポスター発表 PB

(501)

2014年11月7日(金) 13:30 〜 15:30 501 (5階)

[PB078] 女子大学生における大学生活と親準備性(2)

岩治まとか1, 井森澄江2, 伏見友里2 (1.鶴川女子短期大学, 2.東京家政大学)

キーワード:青年期, 親準備性, 大学生活

目的 本研究は、現代の女子大学生が大学生活の中で、いかにして社会人としての力〈人間関係力、レジリエンス、養護性など〉を身に着けていくのかを明らかにしようとするものである。本報告では、「保護する立場」に必要な力の一つである「養護性」について取り上げ、養護性尺度得点についてと、養護性と対人関係様式との関連について検討する。
方法 1)被調査者、2)実施時期、3)実施方法については報告(1)を参照。4)質問紙の構成:本報告では、養護性尺度63項目4段階評定(岩治,2004)、ARS愛情関係尺度12項目5段階評定(高橋,1990,2004)ついて取り上げる。
結果と考察
1)養護性尺度について: 46項目6下位尺度について得られた各下位尺度得点の平均値とSDは表1に示す通りである。
「奉仕的な志向」を除く全ての下位尺度得点において、4年生の得点が1年生の得点より高いことが示された。また、「将来の子育てに対するネガティブな予測」については、1年生の方がネガティブに予測する傾向が強く、養護性全体の得点においても、4年生の得点が高い傾向であった。なお、いずれの下位尺度においても学年間に有意な差はみられていない。これまでの研究(岩治ら,2004~2013)で得られた得点の傾向として、1年次においては「子ども赤ちゃんへの関心51.89~52.58」「親に対するポジティブな感情29.59~30.27」「親になることへの積極的志向15.63~15.75」「奉仕的な志向12.14~14.21」「将来の子育てに対するネガティブな予測9.55~9.72」「動植物への関心13.03~14.04」「養護性134.80~135.38」であり、学年が上がるにつれて、養護性の下位尺度得点及び養護性得点は少しずつ高くなり、社会に巣立つ直前に低くなる傾向がみられていた。これらのデータと比較して今回の1年学生は、若干養護性が高い傾向にあると言える。また、今回の対象者が福祉や教職などの対人援助職を目指す学科の学生であることも、「奉仕的な志向」得点が高い理由であると考えられる。なお、「奉仕的な志向」は高いが、「親になることへの積極的な志向」や「将来の子育てに対するネガティブな予測」得点が比し高くないことが1年生の特徴であると言える。
2)養護性と対人関係様式との関連について:ARS愛情関係尺度で示された「母親型(22名)」「友人型(37名)」「恋人型(16名)」「一匹狼型(5名)」「多対象型(31名)」の類型による養護性尺度得点の違いを検討した。その結果、「子ども・赤ちゃんへの関心(p<.03)」「親に対するポジティブな感情(p<.01)」「親になることへの積極的志向(p<.005)」「奉仕的な志向(p<.005)」得点において有意な差が示された。さらに多重比較の結果、「子ども・赤ちゃんへの関心」では「一匹狼型」と「多対象型」との間に、「親になることへの積極的志向」では「一匹狼型」と「多対象型」、「友達型」と「多対象型」との間に有意な得点の差がみられた。「奉仕的な志向」においては「一匹狼型」とその他全ての類型との間に有意な得点差が示された。
「一匹狼型」の特徴として、養護性の下位尺度得点が低いことがあげられる。また「多対象型」については、類型の中で最も高い養護性の下位尺度得点を示しているが、「将来の子育てに対するネガティブな予測」得点は高いことが特徴である。