[PB098] 成人期女性の子育て支援のかかわりにおける利他的行動
体験についての語りから
キーワード:利他的行動, 成人期, 子育て支援
【問題と目的】
子育ては利他性を必要とする行為である。子どもたちが示す要求に対して何を求めているのか検討をつけ,その身になって必要と思われることを提供する行為が行われている。子育てをする人々を対象に「親になることによる発達」という視点から,子どもとの相互作用のなかで変容する発達主体としての親に関心がむけられ(坂上,2003),議論が展開されているところである。
では,他者の子育てに携わることは人にどのような影響を及ぼすのだろうか。昨今,虐待防止や少子化対策を目的として実施されている子育て支援事業において,どのようなやりとりがなされているのだろうか。そこには,子育てとしての利他性が求められる行為であるだけでなく,子育て行為をする人を援助するという役目を引き受けた活動である。子育て支援の場面を見ていると,支援にあたる人は直接子どもにかかわるばかりではない。子育てをする人の援助や応援となるような存在であろうとしている支援者の姿が見受けられる。子どもとともに過ごす人々が何に困っているのか,できるだけ個別の状況を理解し,問題や困難さが生じていると見受けられる場合にはなんらかの作用をしようという試みもなされている。
実際に子育て中の方にかかわろうとすると,子育てを行うひととの見知らぬ人との関係をとることが必要となる。知識や経験として獲得した子育ての技術を他者が利用可能なものとなるように加工することも必要となる。また,他者の身になり他者が必要としているであろう情報となるように提供することもなされている。
成人期の利他性の発達について,「幼児期の無差別な利他性と成人期の見知らぬ他者への利他性がどのような関係にあるかは明らかではない(平石,2012)」と検討課題が残されている。 子育て支援という枠組みにおいて,成人期にあるひとがいったん得た知識をどのように咀嚼し,他者へ提供しようとするのだろうか。本研究は,他者の子育てにかかわるという体験において,自らの行動をどのように分析し,提供しているか,語りをもとに分析を試みる。また,利他的行動がどのように意識化されているかについても検討をしようとするものである。
【方法】
地域子育て支援事業にたずさわる方に依頼し,地域の役割として活動をしている3名の女性にインタビュー協力を得た。子育て支援事業について教えていただくという設定のもと,実際に行っている事業の内容やこまったこと,対応する際に気を付けている点について自由に発話を依頼した。発話内容は録音し,インタビュー終了後に発話データとして利用できるようテープ起こしをした。
【結果】
得られた発話データのうち,自分の行動を振り返り,他者へ援助を提供しようとする内容について言及された語りを分析の対象とした。なお,インタビューを依頼した3名の女性とも子育て経験があった。
【考察】
子育てに対して一定の知識や方法をもちながらも,その知識や方法そのままを子育て中の方へ提供するということはなされていないことがうかがえた。他者に対してどのようにすれば役立つのか,または本当にこの支援が役にたっているのか,迷いながら子育て支援に携わっている語りも見受けられた。他者の子育てにかかわること自体,それそのものが利他的行動ということができる。第三者として子育てにかかわることにおいて,どのように利他的行動を意識しているのか,具体的な発話データを提示し,検討を深めたい。
子育ては利他性を必要とする行為である。子どもたちが示す要求に対して何を求めているのか検討をつけ,その身になって必要と思われることを提供する行為が行われている。子育てをする人々を対象に「親になることによる発達」という視点から,子どもとの相互作用のなかで変容する発達主体としての親に関心がむけられ(坂上,2003),議論が展開されているところである。
では,他者の子育てに携わることは人にどのような影響を及ぼすのだろうか。昨今,虐待防止や少子化対策を目的として実施されている子育て支援事業において,どのようなやりとりがなされているのだろうか。そこには,子育てとしての利他性が求められる行為であるだけでなく,子育て行為をする人を援助するという役目を引き受けた活動である。子育て支援の場面を見ていると,支援にあたる人は直接子どもにかかわるばかりではない。子育てをする人の援助や応援となるような存在であろうとしている支援者の姿が見受けられる。子どもとともに過ごす人々が何に困っているのか,できるだけ個別の状況を理解し,問題や困難さが生じていると見受けられる場合にはなんらかの作用をしようという試みもなされている。
実際に子育て中の方にかかわろうとすると,子育てを行うひととの見知らぬ人との関係をとることが必要となる。知識や経験として獲得した子育ての技術を他者が利用可能なものとなるように加工することも必要となる。また,他者の身になり他者が必要としているであろう情報となるように提供することもなされている。
成人期の利他性の発達について,「幼児期の無差別な利他性と成人期の見知らぬ他者への利他性がどのような関係にあるかは明らかではない(平石,2012)」と検討課題が残されている。 子育て支援という枠組みにおいて,成人期にあるひとがいったん得た知識をどのように咀嚼し,他者へ提供しようとするのだろうか。本研究は,他者の子育てにかかわるという体験において,自らの行動をどのように分析し,提供しているか,語りをもとに分析を試みる。また,利他的行動がどのように意識化されているかについても検討をしようとするものである。
【方法】
地域子育て支援事業にたずさわる方に依頼し,地域の役割として活動をしている3名の女性にインタビュー協力を得た。子育て支援事業について教えていただくという設定のもと,実際に行っている事業の内容やこまったこと,対応する際に気を付けている点について自由に発話を依頼した。発話内容は録音し,インタビュー終了後に発話データとして利用できるようテープ起こしをした。
【結果】
得られた発話データのうち,自分の行動を振り返り,他者へ援助を提供しようとする内容について言及された語りを分析の対象とした。なお,インタビューを依頼した3名の女性とも子育て経験があった。
【考察】
子育てに対して一定の知識や方法をもちながらも,その知識や方法そのままを子育て中の方へ提供するということはなされていないことがうかがえた。他者に対してどのようにすれば役立つのか,または本当にこの支援が役にたっているのか,迷いながら子育て支援に携わっている語りも見受けられた。他者の子育てにかかわること自体,それそのものが利他的行動ということができる。第三者として子育てにかかわることにおいて,どのように利他的行動を意識しているのか,具体的な発話データを提示し,検討を深めたい。