The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PC

(5階ラウンジ)

Fri. Nov 7, 2014 4:00 PM - 6:00 PM 5階ラウンジ (5階)

[PC031] 過去の栽培経験の有無により米作りの体験活動で得られる効果に違いはあるのか

小学校5年生の米作りの体験活動に着目して

勝野美江1, 藤生英行2 (1.筑波大学大学院, 2.筑波大学)

Keywords:過去の栽培経験, 米作りの体験活動, 小学校5年生

1 問題と目的
小学校5年生の総合的な学習の時間などで取り組まれている米作りの体験活動については,その効果が児童の個人的要因によってどのように違いが出るのかといった研究は十分なされていない。山田(2008)の小学校5年生の米作りの体験活動を行う児童を対象にした調査では,農業の手伝いの経験がある児童がない児童に比べ積極性・自主性等にマイナスの値が出たとしている。井田・藤井(2004)の大学生を対象にした調査では,農業体験学習への参加を希望する理由は,「楽しそう」が上位にきており,参加を希望しない理由は「家が農業をしていて大変さがわかるから」が上位にきていた。このように過去の栽培経験の有無は,何かしらの影響を与えていると考えられる。そこで本研究は,児童の過去の栽培経験の有無により米作りの体験活動で得られる効果に違いはあるのかを明らかにすることを目的とする。
2 方法
(1) 調査対象
米作りの体験活動を行っているX県Y市にある小学校2校計6クラスの5年生児童200名(有効回答数男子95名,女子81名,合計176名)。
(2) 調査時期
2013年米作りの体験学習の始まる前の5月頃(春),稲刈り終了後の10~11月頃(秋)の2回。
(3) 調査内容及び調査方法
春の調査では,学校の勉強が楽しいかという設問に加え,過去に作物を栽培した経験,その時の気持ち,これから始まる米作りの体験学習が楽しみかについて選択式又は自由記述形式で質問した。秋の調査は,学校の勉強が楽しいかに加え,米作りの体験活動は楽しいか,田んぼに入った時に心の気持ち,農家の人をすごいと思ったかについて選択式で質問した。また,米作りの体験をしたことで,学習や生活面に影響があったか,来年も米作りの体験をするとしたらどんなことをやってみたいについて自由記述での回答を求めた。
(4) 分析方法
春,秋で得られたデータをマッチングの上,ポジティブな回答を1にネガティブな回答を0にコード化する等して表のとおり27カテゴリを設定し,これらのデータを数量化理論第III類により解析した。
3 結果
固有値は第1軸が0.26,第2軸が0.14となった。図の右下に「過去に栽培経験がありポジティブなイメージがあり米作りの体験活動が楽しい」,右上に「過去に栽培経験がなく米作りの体験活動により,良い変化あり」,左下に「過去に栽培経験がありポジティブなイメージがなく米作りの体験活動により,良い変化なし」,左上に「米作りの体験活動も勉強も楽しくない」が位置した。
4 考察
過去の栽培経験がない児童は米作りの体験活動が初めての体験であり,様々な刺激を得て,学習や生活面に良い変化が見られたのではないかと考えられる。一方で,過去に栽培経験がありポジティブなイメージがない児童は,米作りの体験活動からは良い変化は得られなかったと考えられる。