日本教育心理学会第56回総会

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ポスター発表 PC

(5階ラウンジ)

2014年11月7日(金) 16:00 〜 18:00 5階ラウンジ (5階)

[PC039] 学習回数と学習タイミングが四字熟語の習得に及ぼす影響

連続学習事態における学習効果の縦断的評価

西山めぐみ1, 寺澤孝文2, 三宅貴久子3, 古本温久4 (1.名古屋大学, 2.岡山大学, 3.関西大学, 4.関西大学初等部)

キーワード:潜在記憶, 学習, 四字熟語

西山・寺澤・矢地・三宅・古本 (2012)は,漢字の読みの習得において,一週間に学習する回数によって,学習タイミングによる影響が異なることを報告している。一般的に集中学習に比べて分散学習の方が効率的であることが指摘されているが,西山ら(2012)の結果は「何をいつどのように学習するか」といった学習要因の組み合わせが,学習効率に影響を及ぼすことを示唆している。そこで本実験は,四字熟語を刺激として用い,西山ら(2012)の追試を行うことを目的とした。
方法
実験参加者 小学校6年生52名が参加した。
刺激 参加者毎に四字熟語が印刷された冊子が作成された。マイクロステップ測定技術を利用し,一週間あたりの個々の単語の学習回数と学習タイミングが操作され,以下の5つの学習条件が設定された。集中学習条件では1週間に1回,分散学習条件では1週間に2回に分けて,それぞれの条件の単語が呈示されるように操作された。
手続き 四字熟語が印刷されたドリルが配布され,参加者は各自のペースで四字熟語の理解度について,4段階 (1: 全然だめ ― 4: よい) で評価することが求められた。1サイクルの学習は,4日のドリル学習による理解度評定と1日の理解度テストの5日間で構成された。以上の学習を4週間継続して実施した。
結果と考察
データの欠損により,6名のデータが分析から除外された。学習回数(1, 2, 4回)×学習サイクル(1, 2 , 3, 4)の参加者内分散分析を行った結果,学習回数と学習サイクルの主効果および交互作用が有意であった(順に, F (2, 90) = 36.19, p < .01, F(3, 135) = 45.07, p<.01, F (6, 270) = 11.30, p < .01)。交互作用について単純主効果の検定(Bonferroni)を行ったところ,全ての学習回数条件において学習サイクルの効果が認められ,学習が進むにつれて評定値が高くなることが確認された。また,学習回数については,2・3・4サイクル目において,学習回数が多いほど評定値が高くなることが示された(1回<3回,2回<3回)。
次に,学習回数(2, 4回)×学習タイミング(集中, 分散)×学習サイクル(1, 2, 3, 4)の参加者内分散分析を行った結果,学習回数,学習サイクルの主効果が有意であり(順に, F (1, 45) = 51.75, p< .001, F (1.67, 75.12) = 64.34, p < .001),さらに,学習回数と学習タイミングおよび学習タイミングとサイクルの交互作用が有意であった (順に, F (1, 45) = 11.64, p <.005, F (2.50, 112.60) = 16.31, p <.001)。学習回数と学習タイミングの交互作用について同様の検定を行ったところ,学習回数4回条件においてのみ学習タイミングの主効果が有意であり,分散学習よりも集中学習条件の評定値が高かった(F (1, 45) = 10.00, p < .005)。この結果は,西山ら(2012)と同様に,特定の学習回数条件下において,効率的な学習タイミングが存在する可能性を示唆している。
付記
実験実施にあたり,岡山大学の山下加奈恵氏,土師大和氏,永井達弥氏の協力を得た。また本研究は,科学研究費補助金による助成を受けた (基盤研究A,課題番号:22240079, 研究代表者:寺澤孝文).