日本教育心理学会第56回総会

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ポスター発表 PC

(5階ラウンジ)

2014年11月7日(金) 16:00 〜 18:00 5階ラウンジ (5階)

[PC054] 現職保育者の学び:保幼小の連携に向けた研修

清水益治 (帝塚山大学)

キーワード:保幼小連携, 現職保育者

本研究の目的は、保幼小連携に向けた研修の方法を提案することである。
方法
材料:演習シートと振り返りシートを作成した。演習シートの一部を図1に示す。「環境・遊び・活動」の欄は、当該内容を子どもに経験させるのに、どのように保育しているのかを記入する欄であり、その右は、そのような「環境・遊び・活動」が、小学校学習指導要領の各教科の低学年の目標のどれにつながるかを書く欄である。
研修の振り返りシートは、研修内容の理解度を調べるものであった。理解度は、「現在の理解度」を研修終了後に調べた。また「本日の研修が始まる前の理解度」として研修開始前のものも回想的に調べた。いずれも「全く理解していない」(1)から「完全に理解している」(6)の6段階で評定する形とした。理解度を調べた項目は、表1に示す8項目であった。
手続き:演習は、「幼児期から児童期の発達と学び」という題の研修の中で行われ、調査はその研修の終了後に行われた。研修が始まりすぐに演習の時間を設けた。園が重ならないような4~5人のグループを作り、グループごとに1つの領域を担当した。グループ内で「内容」の各事項に対して、所属園ではどのような「環境・遊び・活動」を設定しているかを話し合い、その「環境・遊び・活動」が、小学校の学習指導要領に示された低学年の目標のどこにつながるかを考えた。約30分の演習(グループ内で個人が担当する事項を決め、5分間、各自が考える。その後、各事項について考えたことを報告し合う)の後、グループ間で、話し合った内容を共有する時間を設けた。
この演習の後、保幼小連携の意義や歴史等についての講演を行い、講演に続いて調査を実施した。シートを配布し、提出が自由であることを告げた後、記入を依頼した。
倫理的配慮:帝塚山大学ヒト研究倫理委員会の承認を得た(受付番号25-35)。
参加者:平成25年12月に行われたA市の公立幼稚園教育研究会に参加した保育者42名が研究に参加した。このうち調査に協力し、研修の振り返りシートを提出したのは37名、分析対象としたのは記入漏れのなかった33名分のシートであった。
結果と考察
表1は評定結果の平均値を示したものである。6段階評定だったので、偶然による平均値は3.5である。そこでこれよりも大きな値はフォントを大きくし、小さな値はフォントを小さくした。また、現在と研修前の平均値の差を検定した。いずれの項目でも研修の効果が見られた。
この研修方法は、園内で実施できる点で、保幼小連携に役立つ。子どもが多くの小学校に分かれて就学する私立(民間)園でも活用できる。
表1.評定の平均値

図1.本研究で用いた演習シート
科研費(25381099 実践科学としての保育学の成立過程:幼小接続、幼保一体化のエイジェント分析 代表者:無藤隆)に基づくものである。