The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PC

(5階ラウンジ)

Fri. Nov 7, 2014 4:00 PM - 6:00 PM 5階ラウンジ (5階)

[PC061] 女子大学生における死別経験とライフスキル

増田公男 (金城学院大学)

Keywords:死別経験, ライフスキル, 女子大学生

目 的
身近な人の死に接することは,教育的機能などの積極的な意義があるという見解が示されている(山本ら,2009など)。本研究は,重要な他者やペットとの死別経験によるライフスキルへの影響を検討するために計画された。これまでの諸研究から,ライフスキルの各尺度で死別経験のあるものの方が,得点が高くなることが予想される。
方 法
調査対象-入学年度の異なる女子大学生1年生を対象に実施時期を2つに分け,質問紙による調査を実施した。一方は4月初旬の入学直後,他方は年度の終盤の1月後半に各々実施した。回収数は,221部であったが,一部未記入部分のある資料を除いた結果,4月群が102名,1月群が113名の合計215名であった。全体の平均年齢は,18.5歳(SD=0.51)であった。
質問紙-死を意識した経験と死別経験を発達段階別に記入させた。後者については,悲しみや不安をもたらした身内や親戚,友人・知人,ペットなどごとに行った。また,ライフスキル尺度として「日常生活スキル尺度(大学生版)」(島本・石井,2006)を用いた。この尺度は,全体,対人スキル,個人的スキルの3つの合計尺度と8つの下位尺度から成り立っていた。項目数は各3項目計24項目で,4件法での回答形式になっていた。
結果と考察
1.死を意識した経験と死別経験について
表1にこれまでに死を意識した経験を発達段階別に示した。これによると,幼児期には5%以下であったものが児童期後期には約40%になり,青年期になると60%近くに達し年齢とともに一貫して増大していた。カイ二乗検定の結果,有意であることが明らかになった(p<.001)。青年期前期以降に特有な危うさの現れと考えられる。
死別経験によって強い悲しみや不安を感じたものを身内・親戚,友人・知人,ペット,有名人・芸能人に分け発達段階別に調べたところ,全体としては身内等が最も高く61.9%で,続いてペットの46.5%で,友人等が30.7%,有名人等が14.4%であった。
2.日常生活スキルと死別経験
合計尺度の全体,対人スキル,個人的スキルの3尺度と下位の8尺度について,それぞれ調査時期(入学時,学年後期)と死別経験の有無の2要因分散分析を身内・親戚とペットに分け行った。前者は,以前の調査で大学入学後の1年間の間で差異が認められたため要因として加えたが,以下に示すように単独の効果は現れなかった。
合計尺度の3つの平均得点については,表2に示したように全体では身内・親戚等の重要な人との死別経験を有するものの方が,高くなっていた(F=4.31,df=1/211,p<.05)。また,対人スキルおよび個人的スキルにおいても同じようになっていた(F=3.19,df=1/211,p<.05とF=3.28,df=1/211,p<.05)。下位の8尺度については,計画性,情報要約力,対人マナーの3尺度で,同様の差異が確認された。
ペットとの死別に関しては,経験の有無による単独の主効果は認められず,調査時期との交互作用が合計の3尺度すべてで認められた。