The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PC

(5階ラウンジ)

Fri. Nov 7, 2014 4:00 PM - 6:00 PM 5階ラウンジ (5階)

[PC070] 共働きの台湾社会における母親の養育態度の類型

黄ワン茜 (同志社大学大学院)

Keywords:台湾, 養育態度, 共働き

1. 目的
日本は,21世紀の今でも,女性の社会進出が遅れているとよく言われている。それに対して,「女性も働くのは当たり前」という意識は,台湾女性にとって一般的である。そこで,子育てをしながら夫婦共働きが進んでいる台湾は,今後の日本の女性の社会進出や夫婦共働きのモデルとして参考にすることができる。本研究の目的は,共働きの台湾社会の母親がどのような養育態度についての価値観や考え方をもっているのかについて明らかにすることである。同時に,その価値観や考え方に関する年齢層の類型化を行ない,それぞれが大きく異なっているのかどうかについても検討する。

2. 方 法
調査対象者 子どもがいる30代から50代の台湾に住む台湾人女性(原国籍)に限定した。インターネットを通して,子どもを持っている台湾の母親へ本研究の調査協力を依頼したところ,有効回答者として30代の70名と,40代の77名と,50代の68名,合計215名の母親から協力が得られた。
刺激材料 質問紙は親役割診断尺度(谷井・上地,1993) ,子どもについての養育質問 (洪藝真,2006)を参考に,母親の養育態度に関する全40項目からなる6段階評定(「1.まったくそうは思わない」から「6.非常にそう思う」まで)で回答を求める形式の質問項目。質問紙はすべて中国語で作成された。
手続き 調査対象者には,子どもが小学生3年生から6年生のころだと仮定して,質問項目に答えるように指示をした。例えば,子どもが幼児なら子どもが小学校3年生から6年生だと想定して,また,子どもがすでにそれ以上の年齢の場合は,その頃を思い出して質問項目に答えるように指示をした。インターネット上で調査者が公開するサイトにアップロードされた質問項目に自由に回答することを求めた。実施時間は,2011年4月から2011年7月までであった。

3. 結果と考察
母親の養育態度因子に関する類型や特徴を探るため,215名の調査対象者をクラスタ分析(Ward法)により分類したところ,デンドログラムから3つの群に分類することが適切であると判断した(Figure 1)。そして,3つの群において,それぞれの年齢層による人数およびその背景を考察する。年齢層による人数と比率をTable1に示した。
Figure 1とTable 1を合わせてみると,第1群において,人数は一番多く215名中99名(46.0%)を占める。すなわち,台湾の母親の多くは,子どもの教育をとても重視し,勉学支援だけではなく,母子間の意思疎通およびコミュニケーションをよく行っているとわかった。とりわけ,30代の母親が最も多く,40名(57.1%)を占めている。第2群(87名,全体40.5%)は,それぞれの側面を平均的に重んじるという特徴を持っている。中でも,50代の母親が他の年齢層より多く,34名(50.0%)を占めている。第3群は,215名中29名(13.5%)で,その特徴として非権威的な母親であり,子どもの勉学にあまりサポートしていないが,母子間の意思疎通やコミュニケーションを行なっていると考えられる。そのうち,40代の母親が17名と一番多いことが示された。
たとえ同じ共働きの母親でも,年齢層によって台湾社会のそれぞれの転換期を経験したことで,母親の成長背景が異なり,それぞれの養育態度に違いがみられると考えられる。